2016 Fiscal Year Research-status Report
大規模災害時の被災地における連携システム構築に関する公衆衛生看護活動モデルの開発
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15K11885
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
安齋 由貴子 宮城大学, 看護学部, 教授 (80248814)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 大規模災害 / 保健師活動 / 多職種連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、災害時の被災地域内での連携に焦点をあて、地域住民組織、保健医療福祉の関係機関、所属組織内において、連携システムが有効に機能するための公衆衛生看護活動モデルを開発することを目的としている。平成28年度は、平成27年度に行った調査結果を基に「大規模災害時の被災地における連携システム構築における公衆衛生看護活動モデルの試案作成」に取り組んだ。一方、「避難所の運営等に関する実態調査(市区町村アンケート調査)調査報告書」(内閣府、平成27年3月)、「避難所運営ガイドライン」(内閣府、平成28年4月)が公表され、また災害時健康危機管理支援チーム(DHEAT)の研修が開始するなど、東日本大震災の教訓を基にいくつかの法整備や制度等の対応がなされることとなった。本研究においても、これらの内容を踏まえ、実効性の高いモデルとするために検討している。 「大震災時に保健師が行う災害支援活動に関する調査」の結果については韓日地域看護学会で発表し、ポスター賞を受賞した。 また、A町と協働して、20歳-79歳の住民を対象に、東日本大震災または関東・東北豪雨災害後の生活について調査を行った。住んでいる地域の助け合いが「有った」と回答した者が51.9%を占めた。助け合いの具体的内容については122人から回答が得られ、このうち、「食料・飲料のおすそ分け」を挙げた人が42人と最も多く、次いで「声掛け・情報共有」が39人、「炊き出しや清掃などのボランティア」が16人だった。地区別にみると、つながりの強い地域では、7割以上が「有った」と回答した。さらに、豪雨災害を経験した保健所管内の保健師と保健師活動の際の連携の実際を報告し合い、またその際に用いた健康調査票の課題を明らかにして、共有した。さらに、災害時の保健所管内の市町村の協力体制について意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、連携システムが有効に機能するための公衆衛生看護活動モデルを開発することを目的とし、平成28年度は、平成27年度に行った調査結果を基に、「大規模災害時の被災地における連携システム構築における公衆衛生看護活動モデル」の試案作成を行ってきた。一方、「避難所の運営等に関する実態調査(市区町村アンケート調査)調査報告書」(内閣府、平成27年3月)、「避難所運営ガイドライン」(内閣府、平成28年4月)が公表され、また災害時健康危機管理支援チーム(DHEAT)の研修が開始するなど、東日本大震災の教訓を基にいくつかの法整備や制度等の対応がなされることとなった。本研究の「大規模災害時の被災地における連携システム構築における公衆衛生看護活動モデル」においても、これらの内容を踏まえ、実効性の高いモデルとするために、公表されているガイドラインや研修会等を検索し、モデルへの活用等について検討している。このために、予定よりも遅れている。 また、平成27年9月に関東・東北豪雨災害が発生し、A町や近隣においても床上浸水などの被害が発生した。A県においては東日本大震災後に、災害時の公衆衛生活動のガイドラインやマニュアルを整備し、関東・東北豪雨災害時も、このガイドラインやマニュアルに基づく活動が行われた。このような豪雨災害を経験した保健師活動結果も踏まえて、モデル開発を行っていることから、予定よりも遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
災害の対応に関して公表されるガイドラインや制度も踏まえて、「大規模災害時の被災地における連携システム構築における公衆衛生看護活動モデル」案を作成する。 さらに、東日本大震災後のみならず、関東・東北豪雨災害の保健師活動も踏まえて、実効性のあるモデル案を作成する。 「作成したモデル試案の検証」のため、ワークショップや専門家会議によって、作成したモデル試案を評価・修正し、さらに実効性の検証してモデルの完成をめざす。
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Causes of Carryover |
海外での学会発表は、韓日地域看護学会で発表したことから、旅費の支出が少なかった。また、事務的補助の人件費・謝金、印刷代が予算よりも低額で済んでいる。また、研究進捗状況の遅れから、支出も抑えられている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
旅費については、今年度の学会が遠方での開催が多く、学会参加旅費として70万を予定している。さらに、専門家会議開催のための旅費が支出予定である。 人件費・謝金については、専門家会議の謝金、事務補助の人件費が支出予定である。 一方、物品費は当初予算よりも支出が増えたこと、その他として今年度は報告書を作成する予定であることから、これらを調整しつつ計画的に進める予定である。
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