2017 Fiscal Year Annual Research Report
Study on migration mechanism of radiocesium in the mountain stream of Evacuation Instruction area and the removal of radiocesium accumulated in the fish body
Project/Area Number |
15K12200
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
中里 亮治 茨城大学, 広域水圏環境科学教育研究センター, 准教授 (30292410)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | イワナ / ヤマメ / 浪江町 / 放射性セシウム / 帰還困難区域 / セシウムの低減 / ゼオライト / 標識放流実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
福島県双葉郡浪江町は現在でも多くの面積が帰還困難区域に指定されている。本研究は当該区域にある森林河川に生息する渓流魚であるイワナとヤマメへの放射性Cs移行メカニズムや137Csの今後の推移を予測するために,空間線量率の異なる4地点で3年間にわたり当該魚種,周辺環境,渓流魚の食物源となる水生昆虫の137Cs濃度を調べた。また魚の標識放流や現場でのケージ飼育実験によって137Csの移行速度や餌以外からの移行量を推測した。最終年度には流魚体内のCs低減化するための基礎実験として,同一個体の137Csモニタリングが可能となる活魚測定法を開発し,ゼオライト投与によるCs低減の効果について検証した。 ヤマメとイワナに含まれる137Cs濃度は、2魚種ともに環境中の放射能強度が高い河川ほど有意に高かった。空間線量率のもっとも低い地点で採捕した2魚種の137Cs濃度は2015年~2017年度までの3年間でヤマメおよびイワナでそれぞれ102-3,829 Bq/kgと73-2,260 Bq/kgの範囲にあった。線量率の最も高い地点で採捕した137Cs濃度はヤマメとイワナで855-27,738 Bq/kgと651-18,865 Bq/kgの範囲にあった。魚種による137Cs濃度の平均値に統計的な有意差は見られなかった。本研究での調査期間内で、いずれの地点・魚種ともに137Cs濃度の明瞭な減少傾向は認められず、福島第一原発事故から約7年が経過した現在では2魚種のCs濃度はほぼ平衡状態に達しているものと推測された。 活魚測定法を活用したCs低減化実験の結果、ゼオライト混合飼料投与区で飼育した魚の生物学的半減期は、固形飼料投与区で飼育した場合と比較して,ヤマメとイワナでそれぞれ約40~50%短くなった。このことから,ゼオライト混合飼料を用いた飼育は、137Csを低減させるのに有効であることが示唆された。
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Research Products
(4 results)