2015 Fiscal Year Research-status Report
Novel mechanism analysis of microcystin on organ dysfunction-focusing on bile acid metabolism-
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15K12352
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
清水 英寿 島根大学, 生物資源科学部, 准教授 (10547532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 和哉 東洋大学, 生命科学部, 准教授 (10581613)
岡野 邦宏 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教 (30455927)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ミクロシスチン / 大腸ガン / 湖沼富栄養化 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、飲料水源となっている湖沼やダム等での富栄養化に伴う藍藻類の異常増殖は、水資源の汚染を引き起こす主要な原因となっている。その原因の1 つに、藍藻類から産生されるミクロシスチンがある。ミクロシスチンの除去には高価な高度浄水処理法が必要であるため、特に発展途上国で、ミクロシスチンによる湖沼の汚染が問題となっている。よって、発展途上国の湖沼に生息している淡水魚介類およびびその湖沼の水を用いて栽培されている農作物には、ミクロシスチンが蓄積されている可能性がある。近年、食のグローバル化の進展から、飲料水からだけでなく、淡水魚介類・農作物の摂取によって、国内外問わず、人体が低濃度のミクロシスチンに曝露されている可能性は否定できない。そのため、ミクロシスチン中毒に対する予防法並びに治療法の確立は、我が国のみならず発展途上国に対する国際貢献にも繋がっていく。そこで本年度は、報告が少ない、ミクロシチンが腸管細胞に与える影響について着目をし解析を行った。用いた腸管培養細胞として、Coco-2細胞を使用した。結果として、ミクロシスチンは、多くの報告で用いられている濃度よりも低濃度で、大腸ガン細胞の増殖を促した。また、シグナル伝達分子であるERK、p38、JNK、Aktの活性化、転写因子であるStat3やCREBのリン酸化が引き起こされた。さらに、CatalaseやNOX4の発現上昇を導いた。以上から、ミクロシスチンは、低濃度であっても、酸化ストレス、細胞内シグナル伝達分子、転写因子に影響を与える事で、大腸ガン細胞の増殖に影響を与える事が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
所属変更に伴う新しい研究環境の立ち上げのため、進捗状況として、やや遅れてしまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、ミクロシスチンが大腸ガン細胞の増殖に対する作用メカニズムだけでなく、腸管培養細胞を用いて、腸透過性に与える影響についても検証を行っていく。また同時に、肝臓ガンに対する作用メカニズムについても解析を行う。以上の解析に加えて、ミクロシスチンと胆汁酸とのクロストークについても検証を行う予定である。最終的に、ミクロシスチンを個体に投与する事で、大腸や肝臓などの臓器に対する影響や、胆汁酸代謝、腸内環境についても調べていく。
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