2015 Fiscal Year Research-status Report
全身性微振動刺激のがん骨転移の成立・進展に対する予防効果の実験的検証
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15K12509
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
松本 健志 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (30249560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 修一郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (40362644)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 骨転移予防 / 医療・福祉 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,がん療法の進歩によって患者の生命予後が延長される一方で,QOLを著しく損なうがん骨転移のリスク管理も強く求められるようになっている.本研究の目的は,骨吸収抑制作用が報告されている全身性微振動 (whole body vibration: WBV) のがん骨転移の成立に対する予防効果を,マウス実験によって検証することである. 初年度は適切なマウス骨転移モデルの作製を試みた.易骨転移性を示す乳がん細胞 (4T1) をマウス (BALB/c, ♀, 8週齢) の乳腺あるいは左心室に移植し,移殖部位と移殖数によるマウス病状,生存期間への影響を調べた.これまでのマウスWBV負荷実験においてその骨への作用が3週間ほどで認められたことから,生存期間の目処を>3週間とし,また,WBVの効果検証を困難とする重度な骨破壊進展とならない移殖条件を探索した.文献調査により,移殖部,移殖がん細胞数は以下の組合わせて行った(いずれもn=5). 1.左心腔内移植:10,000 cells,2.左心腔内移植:20,000 cells,3.乳腺移植:200,000 cells,4.乳腺移植:1,000,000 cells この結果,左心腔内移植については,いずれの移殖数でも2~3週間で死亡し,胸腔内、肺、心血管周囲、胸膜に腫瘍が確認された.20,000 cells移殖では体重減少も認められた.一方,乳腺移植については,1,000,000 cells移殖で一匹のみ2週後に死亡が見られたが,体重減少は認められず,立毛やうずくまりも確認されなかった.移殖3週後の腫瘍転移は4T1細胞の好転移部位である肺,骨に確認された.本結果より,WBV実験に利用されるマウス4T1骨転移モデルとして,乳腺移殖,移殖数200,000~1,000,000 cellsとすることが適切と考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次年度の本実験へ向けて,重要なマウスがん骨転移モデルの作製の目処が立った.実験計画では,骨転移の好発環境である骨吸収促進部位を有す骨粗鬆症マウスの利用を考えたが,高い易骨転移性を示す4T1細胞の利用により,シンプルな系での骨転移モデル作製が可能となった. また,振動負荷装置については既に設置済みであり,与える振動条件についても検討済みである.本骨転移モデルに対するWBV負荷実験は既に開始したところである.
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Strategy for Future Research Activity |
がん骨転移成立に対するWBVの抑制効果について,骨量および骨内微細構造のSPring-8放射光CTに基づいて評価する. <組織標本観察> WBVの条件を加速度振幅0.3g,周波数を15Hz,45Hz,あるいは90Hzとして,負荷実験を行う.WBVは4T1細胞移殖の翌日より開始し,20分/日,5日/週で負荷する.マウスはWBV群(3群)と非WBV群(振動ケージに入れるが,振動は与えない)に分け,各群10匹,計40匹を使用する.3週後に試料を摘出し,放射光CTによって骨微細構造を高精度で抽出,加えて線吸収係数から骨ミネラル密度を計測し,骨転移成立へのWBVの作用について検討する. <生化学分析> WBV負荷期間の最終日に尾静脈より採血し,血清を得る.骨代謝および腫瘍血管新生の生化学的指標エンザイム・イムノアッセイ(EIA,ELISA)により測定する.
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Causes of Carryover |
3月に納品となり(代表者),支払いが完了していないものと,消耗品の購入予算(研究分担者)における残余で,納品時の割引によるものである.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本未使用額は,H28年度助成金の使用計画の消耗品(動物実験)に充てる.
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Research Products
(2 results)