2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K12639
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山際 伸一 筑波大学, システム情報系, 准教授 (10574725)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河原 吉伸 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (00514796)
和田 耕一 筑波大学, システム情報系, 教授 (30175145)
山本 裕二 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 教授 (30191456)
門田 浩二 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50557220)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 動きビッグデータ / 知的情報処理 / スポーツ科学 / 知識マイニング |
Outline of Annual Research Achievements |
小型センサでとらえた人の動きのデータをヘルスケアなどへの応用する取り組みが盛んである。従来のバイオメカニクスや運動学習分野では、見た目やパフォーマンスに関連する動きの特徴点から導出した平均モデルからパラメタを選定し、個人の動きを定義する。しかし、パラメタを選定せず、個人の動きのモデルを自動的に導出できれば、健康管理やスキル特定への応用精度が格段に向上する。そこで本研究は映像やセンサデータ等の動きのビッグデータへ知的情報処理を施し、個のスキルのモデル化を試みる事を目的とする。データに潜在する動きの特徴点を数理的に抽出し、年月といった中長期的な時間軸のスキル獲得の予測の可能性を探ると共に、データ蓄積が予測精度を向上する可能性も探求し、人を安全に上級者レベルに引き込むトレーニングシステムの開発を目標としている。 本年度は、これらを具現化する基本技術である「スキルグルーピング」技術を開発することができ、本研究でのブレークスルーを得ることができた。つまり、人の動きを、映像とセンサーから捉えた動き情報を元に、人工知能技術を使って、複数の動き情報館の距離、つまり、自分と他人とのスキル距離を得られることに成功した。この技術は、これまでの手法と異なり、センシングによって得た動きビッグデータから、動きのモデルの特徴点を自動的に比較することができ、どのような動きに対しても解析することができる。 この技術は、ビッグデータに関する国際会議IEEE BigData2015にて論文公表しただけでなく、日刊工業新聞、財経新聞をはじめ、子供の科学でも積極的に取り上げられ、広く成果を広報することができ、実用化に向け産業界へのアピールを行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
動きのビッグデータを知的情報処理技術により、複数の動きデータセットの間で差を発見することができることは直感的にわかっていた。しかし、その動きの差が、上級者と初心者との間で段階的に変化していることを発見できた。この変化の仕方を発見するまでが大変であると思ったが、全ての動きに対して、同じような傾向があることがわかり、さらに、時間変化や異なる道具を用いた場合でも、同様のスキルのさが現れることがわかった。したがって、これらを本年度で発見することができたため、躍進的に実用化への可能性が開け、計画以上に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は本年度得られたスキルグルーピングの基本技術を元に、以下の2つのアプローチを取ることで、技術のブラッシュアップと産業界への応用を試行する。 (1)スキルグルーピングのコンディショニングへの適用:本年度、スキルグルーピングは時間軸方向へのスキルの繊維を捉えることも確認できているが、その精度や、システム利用者へのフィードバック方法、という点での実用化可能性を探る。このため、本研究課題を実施する機関の間、スキー、スノーボード、ランニング、といったスポーツに関する動きデータを同一人物の時間軸での蓄積に密着し、スキルグルーピングの表現方法を探る。 (2)産業界への実用化:現在のところ、動きビッグデータからスキルグルーピングによって、データセット間の距離が求められること、さらに、動きの部位によって、どの部位が上級者からの差が出るのかを見極めることができている。この基本的なスキルグルーピングの特徴に関しては、実用化できると考えており、産業界への実アプリケーションへの適用を本年度以降、チャレンジする。 以上の推進方策を行う上で、知的情報処理の処理速度を向上させることが課題になっているため、GPU(Graphics Processing Units)やFPGAによるハードウェア化、といった実装手法を試すことも念頭に、本研究を進めていく。 また、独自のデータセンシング方法も同時に探求し、センシングハードウェアの開発も本研究計画にいれ、センシングからスキルグルーピングによる解析、そして、タブレットやスマートフォンといったモバイル端末への表示までの一貫したシステム開発を今後目指していく。
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Causes of Carryover |
本年度計画していたビッグデータからスキルマイニングが予想以上にスムーズに進展したため、次年度使用額が生じている。これは、ビッグデータ解析に、当初必要と考えていた、高速な計算機システムを利用する前に、脆弱なサーバPCによって、数組の計算を行わせたところ、すでに成果が出ていたためである。さらに、そのデータ整理や、成果の公表の作業に追われ、処理システムの高性能化を先送りしたのが本理由である。しかし、計算時間は実用化の域を脱していないため、高性能システムへのスキルグルーピングの移植は喫緊の課題であり、今後早急に対応する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
高性能計算プラットフォームとして、GPUを利用することが上げられ、それを購入する費用に充てることを計画している。また、スキルグルーピングの独自ハードウェアをFPGAを使って実装することで、リアルタイムなスキルの距離計算ができるかを試行することを計画する。さらに、モバイル端末で、日常生活の動きデータを収集し、スキルグルーピングを当てはめるといった、いわゆるIoTのような技術への応用のため、モバイル端末の複数購入を計画している。 翌年度は、これらの実験の成果を国際会議や展示会といった機会において社会に公表することを計画している。
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Research Products
(5 results)