2015 Fiscal Year Annual Research Report
囲碁を用いた世代間交流プログラムの開発とその効果の検証
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15K12736
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
倉岡 正高 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (50596848)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 世代間交流 / 学童保育 / 囲碁 / 高齢者 / 小学生 / 世代間交流観察スケール / こどもの教育 / intergenerational |
Outline of Annual Research Achievements |
核家族化の進行が著しいわが国において、こどもの社会性や対人能力の低下が問題視されており、その解決の手段として世代間交流プログラム(Intergenerational Program:以降IGPと呼ぶ)に注目が集まっている。IGPは学術的に推奨される一方で具体的に普及・継続がし難く、より多くの人の関心を集めるためのコンテンツ選びが重要であると言われている。 そこで本研究では、地域交流のツールとして多くの場で用いられ、礼儀作法の習得や、忍耐力、集中力の向上という観点から、囲碁を活用したIGP を開発し、プログラム実施中のこどもと高齢者の行動の変化を評価した。 プログラムの内容は、日本棋院に所属するプロ棋士による基本的ルール等の講義、1対1の対局、高齢者とこどもがペアを組み協力し合う練習問題、チーム戦(ペア碁)などとした。対象者は東京都板橋区内の小学校の学童保育に登録している児童14名と、小学校近隣に住む高齢者15名(76.9±5.7歳)であった。週1回1時間のプログラム実施時に、世代間交流観察スケール(CIOS-E,CIOS-C)を用い参加者の行動の変化を評価した。プログラムの進展に伴う変化を検討するために、プログラムの時期を前期(第1回目~第3回目)、中期(第4回目~第8回目)、後期(第9回目~第11回目)の3つに分割し、時期を独立変数、CIOS-E,CIOS-Cの得点を従属変数とする反復測定分散分析を行った。その結果、CIOS-Cの第Ⅱ因子「尊重」において、プログラム後半で有意に得点が向上する傾向がみられ(p<0.1)、こどもは高齢者への尊敬と思いやりの心を養い、主体的に行動するという変化が示唆された。 プログラムを通じて離脱者は高齢者で1名のみと少なく、本プログラムは積極的に参加、継続可能なIGPとなったと考えられる。本研究が子どもの社会教育・情操教育に対する具体的な事例となり、地域交流イベントや、幼稚園、小学校の授業等に用いるツールとして、広範囲に応用されることが期待される。
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Research Products
(1 results)