2015 Fiscal Year Research-status Report
中印文明の邂逅は何をもたらすか―「ゾミア」の社会経済変容を中心とする予備的研究
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15K12784
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤田 幸一 京都大学, 東南アジア研究所, 教授 (80272441)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 土地奪取 / 焼畑 / ゴム / ミャンマー / カチン州 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、研究会開催による研究ネットワーク形成と現地調査によるゾミアの理解促進の2つのコンポーネントから成る。 研究会は、「ゾミア研究会」と名付け、6月8日、6月9日(ミャンマーのワ族研究で著名な上海滞在中のコーネル大学のFishesjo教授を招へい)、および6月15日(ミャンマー・カチン州から若手研究者のDan氏および米国からインド北東地域研究の第一人者のバルア教授を招へい)の3回実施した。多くの参加者を得て、活発な議論ができた。なお他の資金源も利用して、「ゾミア研究会」は年度内に他に7回、合計10回開催した。 現地調査は、8月22~30日、ミャンマーのカチン州に行き、上記Dan氏の世話で、州都ミッチーナ周辺のカチン族村落を7ヵ所訪問し、その社会経済状況の調査を実施した。その結果、州都周辺の最も開けた場所であるにもかかわらず、つい最近まで焼畑耕作が広く行われており、かつ最近、何者か(いわゆるビジネスマン)が焼畑地を占拠し、天然ゴムやバナナの大規模栽培を始めており、住民が焼畑を行えなくなる、という事態が進行していることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「ゾミア研究会」の開催は、他の資金源も利用して行っているため、1年間で10回実施することができ、研究ネットワークの構築が順調に進んだ。 しかし一方、現地調査の主な対象地域は中国・雲南省、ミャンマー・カチン州、インド北東地域に住むカチン族(ジンポー族)であるが、カチン州の州都ミッチーナ周辺での予備調査は予定通り終えたものの、入域許可の必要性の発覚などから準備が遅れ、インドの北東地域での調査は実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
「ゾミア研究会」を継続し、引き続き、研究ネットワークの構築を行う。 また、カチン族の社会経済実態調査では、ミッチーナ周辺での土地奪取(land grabbing)について本調査を行うとともに、インド北東地域と中国・雲南省でも、周到な準備を行ったうえで調査を実施し、年度末までに研究をとりまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
インド北東地域に居住するカチン族の調査を実施する予定であったが、入域許可が必要なアルナーチャル・プラデーシュ州に多くのカチン族がいることが判明したため、許可証を取るための準備の時間がなくなり、予定していた調査を延期せざるを得なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、周到な準備をした上でインド北東地域および中国・雲南省に居住するカチン族の村落調査を行う。 また、「ゾミア研究会」の開催費に、昨年度以上の資金を投入する。
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Research Products
(1 results)