2015 Fiscal Year Research-status Report
研究公正の理念の学際的検討と日本的な研究倫理の構築
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15K12811
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
水谷 雅彦 京都大学, 文学研究科, 教授 (50200001)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芦名 定道 京都大学, 文学研究科, 教授 (20201890)
出口 康夫 京都大学, 文学研究科, 教授 (20314073)
八代 嘉美 京都大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (30548566)
海田 大輔 京都大学, 文学研究科, 講師 (40649133)
伊勢田 哲治 京都大学, 文学研究科, 准教授 (80324367)
児玉 聡 京都大学, 文学研究科, 准教授 (80372366)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 研究公正 / 研究倫理 / 専門職倫理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、日本の教育・研究の風土をふまえて、研究倫理・研究公正について根本的な問いかけに基づく基本理念の構築と、その基本理念に基づいて、不正のおきない研究の制度設計、効果的な研究公正教育の枠組みの提案を行う。 本年度は、倫理学や宗教学など価値論的側面から見た研究公正・不正概念の検討と、科学論的視点からの検討をおこなった。研究分担者が中心となって関連文献を収集するとともに定期的に討議を行い、検討を深めてきた。 上記の研究討議の成果を公開し、また外部からの講演者・参加者を招いてさらなる知見をえるため、2015年10月に二回にわたって研究会を行った。 2015年10月19日に開催された「研究公正の理念の学際的検討と日本的な研究倫理の構築研究会」(於京都大学)では、山崎茂明氏にオーサーシップ問題について、眞嶋俊造氏に具体的な研究倫理推進の方策について講演いただき、知見を深めるとともに、研究分担者の伊勢田が研究不正がなぜ悪いこととされるのかの原理的な問題提起が行われた。京都大学本部 研究推進部研究推進課の協力を得て開催された2015年10月24日「シンポジウム・これから の研究公正のあり方について考える」(於京都大学)では、西川伸一氏、加藤尚武氏を招いて、研究不正の構造や予防法について、講演いただくとともに、総合討論で議論を深めた。また、科学研究費基盤研究(B)「『新しい』専門職の職業倫理:理論と実践の架橋を目指す領域横断型 研究」(研究代表:北海道大学・眞嶋俊造准教授)が主催する2015年10月12日「人文・社会科学のための研究倫理シンポジウム 研究公正と研究倫理を 問い直す-理念・制度・教育-」(於上智大学)に研究分担者の伊勢田が登壇し、日本において研究公正に取り組んでいく上での課題について問題意識の共有を行い、フィードバックを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、研究公正について価値論的側面と科学論的側面の双方の観点から、研究公正に関する原理的な問いかけから個別の課題、具体的な方策まで、多方面にわたって議論を深めることができた。こうして得られた意見交換や討議の蓄積をもとに、今後さらに研究成果をアウトプットし、共有していく基盤が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまで構築した研究組織を維持しつつ、集団的責任論からの検討と分析アジア哲学の視点からの検討という二つの視点からの検討を加え、より多面的に研究公正のあるべき姿を明らかにする。具体的な成果発表と外部からの知見の獲得の場として、日本哲学会と科学技術社会論学会の合同シンポジウム、日本倫理学会での討議がすでに予定されているほか、本科研費主催の研究会も数次にわたって開催する予定である。とりわけ、初年次の研究の中で研究公正推進の中で文系諸分野のおかれる状況の特殊性が明らかとなってきたので、その点に研究を注力していく予定である。 加えて、その研究成果として、年度末に比較的規模の大きな国際研究集会を開く予定である。その場において、日本のおける研究不正対策、研究公正促進のあり方について本研究の結論と提案を公開する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた外国人研究者が健康上の理由により平成27年度中の招へいが困難になったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に京都大学で開催を予定している国際会議に上記外国人研究者あるいはそれに相当する研究者を招へいする予定である。
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Research Products
(31 results)