2016 Fiscal Year Research-status Report
反応時間測定による韓国語助詞の文法現象に関する研究:母語話者と学習者の認識検証
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15K12877
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
小島 大輝 近畿大学, 文芸学部, 講師 (20712178)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 信浩 九州大学, 留学生センター, 准教授 (20600125)
大和 祐子 大阪大学, 日本語日本文化教育センター, 准教授 (80707448)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 韓国語 / 助詞結合 / 助詞連続構成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、韓国語において用法の許容度に差が生じる助詞の結合形態が実際に韓国語母語話者にどのように許容されているのかを明らかにすることが主たる目的である。 韓国語は日本語と同じく、助詞によって文法的関係を示したり、特殊な意味の添加を行うという特徴を持ち、同一形態の格助詞が重出する現象や本来、異なる機能を有する格助詞が交替する現象、形態的に格助詞に属する助詞同士が結合する現象等がある。本研究ではとりわけ助詞同士の結合形態を分析の対象とし、前年度は、上記のような文法現象を調査する前段階として、実験実施のための刺激文の作成を行うとともに、実験に参加してもらう韓国語母語話者を募るため、韓国の大学に協力を依頼した。二年目となる28年度は、対象とする文法現象について正誤判断とともに反応時間を測定する実験によってデータを収集し、当該現象についての証拠性を示しながら、より精緻な文法記述を行うことを試みた。 韓国にて韓国語母語話者に対して視覚呈示及び聴覚呈示による実験を行った結果、位置や空間を表す名詞類に処格助詞と主格助詞が連続して結合する現象はきわめて高い許容度を示し、正用と判断すべき助詞の結合形態と比較しても差がほとんど見られないことが分かった。また、韓国語の助詞には日本語のそれと類似点が見られるものが多数存在するが、本研究の分析対象では日韓で対応しないものが存在する。そこで韓国語母語話者のほかに、大学附設の語学機関で学ぶ、日本語を母語とする韓国語上級学習者にも同様の実験を行い、日本人上級学習者がどの程度理解できるのか、また、どのように認識しているのかを調査したところ、多くの被験者が正用・誤用とすべき形態をともに理解しており、ターゲットとなる形態についても半数程度の被験者が可能な構成であると認識しているという結果が出た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
韓国の大学に協力を依頼し、韓国語母語話者と現地語学学習機関で学ぶ日本人韓国語学習者に調査を行うことができ、分析に必要となるデータも十分に集めることができた。 また、収集したデータは随時分析を行い、その成果の一部を学会で発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は前年度と同様、韓国現地調査で得られたデータを分析し、その結果を学会で発表する予定である。
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