2017 Fiscal Year Annual Research Report
the Formative Process of "Verbal Character" among Japanese Language Learners
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15K12895
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
山元 淑乃 琉球大学, グローバル教育支援機構, 講師 (50468071)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | (発話)キャラクタ / SCAT / ライフストーリー / アニメによる日本語習得 / 移動する子ども / 非ネイティブスピーカー志向の学習モデル / 質的研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
第二言語学習者が目標言語で示す、母語と異なる(または同様の)キャラクタの獲得について、第二言語学習者に対するインタビューを行い、SCAT(Steps for Coding and Theorization)を用いて質的分析を行い、ライフストーリーを構築した。 アニメから日本語を習得したフランス人学習者Cについて(1)Cの日本語習得と日本語の発話キャラクタの獲得は、幼少期からの長時間の継続的なアニメ視聴と日本語の一人芝居という、インプットとアウトプットによって実現された。(2)Cのアニメを通した日本語習得と発話キャラクタ獲得の背景には、フランス(西欧)の否定と日本(東洋)の肯定という対照の中に、日本的な相互協調的自己観へとつながる様々な事柄が内包される構造を見いだすことが可能である。(3)自己否定につながる幼い時の体験から、フランス(西欧)における自己が否定されて日本(東洋)への同化が希求され、アニメで見た日本で別の自分探しを行うための個人的言語実践(日本語アニメの長時間視聴と日本語一人芝居)を通して、自己肯定を目指したキャラクタの継続的探索が行われた結果、Cの日本語の発話キャラクタが獲得された。ことが明らかになった。 また「移動する子ども」であった経験を持つ日本人英語学習者Sについて(1)Sは「移動する子ども」として、その言語能力とキャラクタに不安感を抱きながら、異文化環境で無意識的にキャラクタを獲得し、帰国後には自国の文化でも意識的にキャラクタを修正し、その不安感に折り合いをつけようとした。(2)そのきっかけは、英日両語ともに、異文化における不適切なキャラクタの表出による失敗経験であり、それは、その文化でのキャラクタ獲得の契機となった。(3)二つの文化におけるキャラクタの獲得には、重要な他者として、それぞれ一人の友人が、大きな役割を果たした。ことが明らかになった。
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Research Products
(3 results)