2015 Fiscal Year Research-status Report
感受概念の言語化に注目した教育実習生の実践知獲得プロセスの研究
Project/Area Number |
15K12913
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
長嶺 寿宣 熊本大学, 教育学部, 准教授 (20390544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 敦史 群馬大学, 学内共同利用施設等, 講師 (50622122)
藤枝 豊 共愛学園前橋国際大学, 国際社会学部, 教授 (60406288)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 英語教師 / 教師成長 / 教育実習 / 実践的知識 / リフレクション / 定性分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,研究代表者1名と研究分担者2名の計3名で構成する研究組織によって遂行される。したがって,初年度にあたる平成27年度は,研究実施計画に基づいて研究体制の確立に努め,主に理論研究とパイロット・スタディを行った。理論研究については,暗黙知の言語化を促す手法として知られるTAE(Thinking At The Edge)に焦点をあて,TAEに関わる哲学,教育学,心理学,臨床心理学,看護学,社会学等の分野における研究動向及び学術的議論の動向を調査し,実践的知識(実践知)とリフレクション(内省・内観・振り返り)の概念化,教師成長を促すリフレクションの手法とその効果についての文献収集と理論化作業を進めた。さらに,教師成長と英語学習者としての自伝的記憶を調査するための定性研究手法の調査も実施した。これらの理論研究遂行と同時に,被験者1名を選出した上で,定性分析手法の妥当性を検討するためのパイロット・スタディを実施した。まず英語教師を志す学部生(被験者を含む)を対象に「TAEによるリフレクション活動」のワークショップを開催し,被験者に実践知を言語化する手法を学ばせ,言語化プロセスをデータとして収集した。その後,教育実習前後にインタビューを行い,被験者の実践知とその獲得プロセスを分析した。また,「L2 poetryを取り入れたリフレクション活動」のワークショップも開催し,入手した被験者の異なる質的データを複眼的に考察しながら,パイロット・スタディの主要データ(教育実習前後のインタビュー・データ)を分析した。TAEによるリフレクション活動導入に関わるメリットとデメリット,インタビュー実施時に被験者が直面する言語化の壁の存在,リフレクション活動におけるL2 poetryの有効性を明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理論研究はおおむね順調に進展しているものの,パイロット・スタディに関しては,被験者の主要データ(教育実習後のインタビュー・データ)の収集と分析作業が遅延したため,ワークショップ等を通して入手した補足データと主要データの比較分析(複合調査:データ・トライアンギュレーション)作業が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
先述したパイロット・スタディのデータ収集・分析が当初の予定より遅延していることから,平成28年度に計画しているメインの研究の開始時期を遅らせざるを得ない。しかし,これは本研究がもつ挑戦的萌芽研究としての特徴とパイロット・スタディの重要性を考慮すると研究分析の深化のために不可欠であると判断する。したがって,パイロット・スタディの全作業の完了を平成28年度前半の優先事項とし,研究計画全体の見直しと今後の実施計画の修正を検討する。次年度上旬に,研究者打合せの実施形態と頻度を見直し(例:オンラインでの会議を複数回実施する),研究者間の連携を強めることで対応する。
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Causes of Carryover |
研究代表者が所属する大学の学部行事や学科イベントの関係で,当初計画していた国内外の研究学会への出張を見送ったため未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の研究学会出張旅費に充てる。
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Research Products
(6 results)