2016 Fiscal Year Research-status Report
沖縄独立の人文学的意義に関する予備的考察-戦後歴史学を中心にー
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15K12933
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
冨山 一郎 同志社大学, グローバル・スタディーズ研究科, 教授 (50192662)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 沖縄独立 / 自治 / 東アジア / 軍事基地 / 人文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究実績の概要は以下とおりである。 ①成果の一部を刊行した。同研究課題の研究成果の一部を、森宣雄・冨山一郎・戸邉秀明編著『あま世へ―沖縄戦後史の自立に向けて』(法政大学出版局 2017年3月)として刊行した。同書は、沖縄の独立並びに自立を思想的に担ってきた、新川明、川満信一、松島朝議に加え、歴史家の鹿野政直とともに編纂されたものである。沖縄独立の人文学的意義を考察しようとする本研究課題において、こうした歴史の自立にかかわる議論は、極めて重要である。また同書では、1950年代の土地闘争をになった国場幸太郎に焦点が当てられている。国場にかかわる研究は、これまでほとんどなく、本書が画期となって議論が広がることが期待される。 ②韓国済州島における海軍基地建設反対運動への調査並びに関係者からの聞き取り(2016年9月7日~9日)沖縄同様に米軍により占領された済州島における平和運動を調査した。またそこでの焦点は、解放直後の4.3事件であり、こうした虐殺事件の記憶のありかたと、軍事的暴力への認識の関係を運動関係者とともに議論をした。沖縄の歴史にかかわって上記①の国場幸太郎は沖縄戦の記憶を軸に据えているが、かかる点で済州島の平和運動の事例は比較検討すべき内容を持つ。また済州大学校において、今後の研究連携について意見交換をした。 ③沖縄自治論にかかわるワークショップの開催(2016年10月29日 琉球大学)沖縄自治論における中心人物である島袋純教授(琉球大学)とともに、沖縄自治思想と1960年代の米国占領下における沖縄の労働運動の関係ついて討議をした。氏の議論は本課題研究の内容に合致するものであり、島袋氏との議論は、今後も継続する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究代表者である冨山が研究科長の任にあり、予定していた海外での調査・研究、ならびに大掛かりな申請された課題にかかわるシンポジウムやワークショップの開催を行うことができなかった。また年度後期には体調を崩し、さらに研究活動が停滞した。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の研究の遅れの最大の理由である、代表の研究科長の任が解けたのを受けて、今後は遅れを取り戻すべく努力をする。その際、夏休みに集中的にこれまで行っていなかった海外での調査・研究を遂行する。予定しているのは、米国においてはサンフランシスコとニューヨーク、韓国においては済州島とソウルである。以下その予定の概要を述べる。①サンフランシスコにおける調査研究。米国サンフランシスコにおいて、北カリフォルニア沖縄県人会会長のウェスリー上運天氏と会い、沖縄独立にかかわる意見交換と、米国における沖縄人コミュニティーの現状について議論を行う。②ニューヨークにおける調査研究。米国ニューヨークにおいて、米国在住の沖縄研究者とワークショップを開催する。その際、ニューヨーク大学の島袋まりあ准教授とともに企画する。③済州島での調査・研究。韓国済州島において、軍事基地反対運動の関係者とワークショップを開く。その際、済州島大学のユン・ヨイル氏とともに企画をする。④ソウルでのワークショップ。韓国ソウルにおいて、東アジアにおける沖縄独立の意義にかかわるワークショップを開催する。その際成均館大学の沈正明氏とともに企画をする。
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Causes of Carryover |
研究代表者である冨山が研究科長の任にあり、予定していた海外での調査・研究、ならびに大掛かりな申請された課題にかかわるシンポジウムやワークショップの開催を行うことができなかった。また年度後期には体調を崩し、さらに研究活動が停滞した。そのため、予算使用額が極端に少なくなってしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
夏休みに集中的にこれまで行っていなかった海外での調査・研究を遂行する。予定しているのは、米国においてはサンフランシスコとニューヨーク、韓国においては済州島とソウルである。以下その予定の概要を述べる。①サンフランシスコにおける調査研究。米国サンフランシスコにおいて、北カリフォルニア沖縄県人会会長のウェスリー上運天氏と会い、沖縄独立にかかわる意見交換と、米国における沖縄人コミュニティーの現状について議論を行う。②ニューヨークにおける調査研究。米国ニューヨークにおいて、米国在住の沖縄研究者とワークショップを開催する。その際、ニューヨーク大学の島袋まりあ准教授とともに企画する。③済州島での調査・研究。韓国済州島において、軍事基地反対運動の関係者とワークショップを開く。④ソウルでのワークショップ。韓国ソウルにおいて、東アジアにおける沖縄独立の意義にかかわるワークショップを開催する。
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Research Products
(1 results)