2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K12956
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
藏本 龍介 南山大学, 人文学部, 准教授 (60735091)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 貴夫 広島大学, 教育開発国際協力研究センター, 研究員 (10636517)
東 賢太朗 名古屋大学, 文学研究科, 准教授 (40438320)
岡部 真由美 中京大学, 現代社会学部, 准教授 (40595477)
門田 岳久 立教大学, 観光学部, 准教授 (90633529)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 宗教 / 組織 / 経営 / 民族誌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、本科研の中間報告として、公開シンポジウム「「宗教組織の経営」についての文化人類学的研究」を実施した。本年度の活動は、このシンポジウムの準備と講演録の出版である。 (1)シンポジウムのための準備研究会(2016年7月9日):前年度の議論を踏まえ、シンポジウムの趣旨および構成について議論した。 (2)シンポジウム(2016年12月3日):南山大学において、上述の公開シンポジウムを開催した。このシンポジウムでは、宗教組織はどのように「経営」されているのか。つまりいかなる目的をいかなる方法で達成しようとしているのか。そしてそのプロセスはどのように展開しているのか、という問題について、タイの仏法センター(岡部真由美)、ブルキナファソのコーラン学校(清水貴夫)、インドのヒンドゥー寺院(田中鉄也・ゲストスピーカー)、日本の巡礼地(門田岳久)を事例として、人類学的なアプローチから分析を行った。さらに経営人類学を専門とする住原則也氏(天理大学)と、宗教社会学を専門とする白波瀬達也氏(関西学院大学)をコメンテーターとして招き、「宗教組織の経営」という問題について分野横断的な議論を行った。その概要は南山大学人類学研究所のウェブサイトでも確認できる(http://www.ic.nanzan-z.ac.jp/JINRUIKEN/activity/2016/20161203.html) (3)シンポジウムの講演録の出版(2017年3月31日):上述のシンポジウムの議論をまとめた講演録を、南山大学人類学研究所から出版した(103頁)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
公開シンポジウムの実施および講演録の出版ができ、当初予定していた成果を順調にあげることができた。 本年度の最も重要な目的は、前年度の研究会を通して培ってきた問題枠組みや議論について、他の学問分野の専門家の意見を仰ぎ、さらに議論を洗練させることにあった。この点についてシンポジウムにおいて経営人類学と宗教社会学を専門とするコメンテーターを招いて、議論をすることができたのは、非常に成果のあるものであった。またシンポジウムを講演録として出版することができ、本研究会をより広く知ってもらう素地ができたといえる。さらに各メンバーはそれぞれのフィールドにおいて、「宗教組織の経営」に関する調査を行うことができた。 このようにシンポジウムの開催とフィールドワークの実施によって、本研究の議論を深化させることができ、本年度の計画は順調に進展したといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、第1に、「宗教と社会」学会(2017年6月開催予定)において、テーマセッションを実施する。それによって、他分野、特に宗教社会学者との研究交流を深めることによって、本研究の視点を、比較宗教研究の一視座として鍛え上げる。第2に、この3年間の議論を踏まえて、より大きな研究プロジェクトを企画する。本科研の活動を通して、「宗教組織の経営」という問題設定が、人類学のみならず、広く宗教研究や経営学にもインパクトを与えうるものであるという手応えを感じている。そこで今後は、「宗教組織の経営」という問題について、より十全なフィールドワークを実施できるような研究プロジェクトを構想する(科研の基盤Bなど)。 以上のように、研究計画を変更する必要はなく、本研究を遂行する上での問題もない。
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Causes of Carryover |
研究分担者の一人が海外の研究機関に長期出向しており(2016年8月から2017年7月予定)、学外・海外からの執行が難しかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上述の分担者の海外出向は2017年7月で終了する予定である。本務校に帰国後、本科研の調査費用として用いる。
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Research Products
(16 results)