2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K12990
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
高橋 良輔 青山学院大学, 地球社会共生学部, 教授 (70457456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芝崎 厚士 駒澤大学, グローバル・メディア・スタディーズ学部, 准教授 (10345069)
山崎 望 駒澤大学, 法学部, 准教授 (90459016)
大庭 弘継 南山大学, 社会倫理研究所, 研究員 (00609795)
川名 晋史 近畿大学, 法学部, 講師 (10611072)
今井 宏平 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究員 (70727130)
伊藤 丈人 青山学院大学, 国際政治経済学部, 助教 (50739373)
佐藤 史郎 大阪国際大学, 国際コミュニケーション学部, 講師 (40454532)
中内 政貴 大阪大学, 国際公共政策研究科, 准教授 (10533680)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 時間の政治学 / 永井陽之助 / 大森荘蔵 / 真木悠介 / 戸田正直 |
Outline of Annual Research Achievements |
共同研究の初年度となる平成27年度は、基礎的研究を実施した。そのため研究の焦点は、共同研究の基盤形成/各課題研究の構想共有において実施されている。 研究推進の具体的方法は、研究会開催による報告および討議である。第1回研究会は、2015年8月11日(火)14:00-18:00に東京大学駒場キャンパス2号館306教室で開催された。当日は、研究代表・分担研究者・連携研究者10名に加え、2名のオブザーバーが参加している。研究会では、各自の自己紹介と共同研究の趣旨確認を行った後に、高橋良輔より提題1「『時間の政治学』からのアプローチ抽出」として、永井陽之助『時間の政治学』の分析が行われた。また後半では、芝崎厚士より提題2「自我・時間・世界:国際関係研究における時間をめぐる試論」が報告され、近代社会科学というディシプリン内部における「時間」の議論の不在の克服(レイヤー1)と近代社会科学それ自体の前提となっている時間観そのものの考察(レイヤー2)を架橋していく必要性が提示され、時政学構築に向けた問題意識や基礎的な視点が共有された。 これを受けて第2回研究会は2016年1月24日(日)13:0-18:00に青山学院大学青山キャンパス14号館第12会議室で開催された。当日は、研究代表・分担研究者・連携研究者8名に加え、4名のオブザーバーが参加している。第2回は、当初の予定通り、各課題研究の構想共有に充てられ、計11件の個別研究構想を共有(後日追加1件)したうえで、時政学の研究アプローチについて共同で討議を行った。 これら2回にわたる研究会の開催により、時政学の構築に向けた共同研究の基盤的形成が達成され、また次年度に向けた個別研究構想の共有も予定通り達成されたと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
時政学の構築に向けた共同研究の基盤構築ならびに個別の研究構想の共有はほぼ予定通り進んでいる。 まず理論面の研究構想では、山崎望「民主主義(dmocrasies)の時間/非民主主義の時間」、高澤洋志「”批判的”時政学のための詩論:技術/速度術/監視への問い」、高橋良輔「同期の臨界:グローバル秩序像の時間論的転回」、芝崎厚士「時間の国際関係論」の4本の研究構想がすでに提示されている。 また事例研究では、川名晋史「沖縄における既知集合の偏移と時間性:1966-1973」、今井宏平「外交政策」、大庭弘継「紛争における時間の変容:医療的時間と福祉的時間」、中内政貴「平和構築における時間資源」、佐藤史郎「政治的資源としてのヒロシマ・ナガサキの時間」、伊藤丈人「食品安全」、中村長史(オブザーバー)「能力の優位と時間の劣位:安定化活動における時間の挫折」、八木直人(オブザーバー)「非対称紛争と時間の効用:戦略的思考と時政学」の8本の研究構想も提示されている。 これらの研究構想は、概ね交付申請時の役割分担に沿って検討されており、次年度以降の研究成果の可視化にも大いに期待ができると思われる。 他方で今後の課題は、これら多岐にわたるトピックスを分析する際にどこまで共通のアプローチを抽出的できるかという点にある。この課題については、個別研究の進捗と同時並行で次年度以降に取り組んでいく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
研究全体の中間年度となる平成28年度は、発展的研究を実施する。そのため研究の焦点は、”政治的資源としての時間”をめぐり、「基礎構造」の持続と変容の解明 /制作過程における「稀少価値」の抽出 におかれる。 研究推進の具体的方法は、前年度に各研究者が提示した研究構想に沿って課題を追究する個別研究と、その研究の進捗内容について報告・討議を行う研究会という二つの側面から構成される。各自の個別研究構想については、すでに初年度の第2回研究会で提示されており、速やかな研究開始が可能と思われる。 また個別研究の進捗内容を検証する研究会は、3回/年の開催を予定している(7月、11月、2月)。第1回は時政学に関する研究アプローチの深化にあてたうえで、第2回、第3回は3-4名程度の研究報告を共有し、時政学の構築に向けた協議の深化を図ることを想定している。 なお本共同研究に関連して、2016年度の日本政治学会において公募企画「政治的資源としての時間:基地政策、平和構築、安定化の過程からの抽出」(2016年10月1日 分科会A-4)が採択された。研究分担者の川名晋史「沖縄における基地集合の偏移と時間性:1966-1973」、中内政貴「平和構築活動において時間が国際/現地アクターに及ぼす影響」、オブザーバー参加をしている中村長史「能力の優位と時間の劣位:安定化活動における米国の挫折」が報告予定である。司会は高橋良輔(研究代表)、討論者は大庭弘継(分担研究者)、池田丈佑(外部研究者)が務める。時政学の研究視角について広く問題を提起するとともに、個別研究の共有の機会としても活用する予定である。
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Causes of Carryover |
共同研究の初年度となる平成27年度は、基礎的研究を実施した。そのため研究の焦点は、共同研究の基盤形成/各課題研究の構想共有において実施されている。このことから分担研究者の一部には、今年度は研究文献の購入などを実施せず次年度以降に繰り越しての使用を計画している場合がある。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
初年度の繰越金額については、引き続き各分担研究者の管理とし、必要に応じ次年度以降の物品費、旅費、人件費・謝金、その他に使用していただく。
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Research Products
(12 results)