2017 Fiscal Year Research-status Report
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15K12990
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
高橋 良輔 青山学院大学, 地球社会共生学部, 教授 (70457456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芝崎 厚士 駒澤大学, グローバル・メディア・スタディーズ学部, 教授 (10345069)
山崎 望 駒澤大学, 法学部, 教授 (90459016)
大庭 弘継 京都大学, 文学研究科, 研究員 (00609795)
川名 晋史 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 准教授 (10611072)
今井 宏平 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター中東研究グループ, 研究員 (70727130)
伊藤 丈人 青山学院大学, 国際政治経済学部, 助教 (50739373) [Withdrawn]
佐藤 史郎 大阪国際大学, 国際コミュニケーション学部, 准教授 (40454532)
中内 政貴 大阪大学, 国際公共政策研究科, 准教授 (10533680)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 時政学 / 宇宙開発 / 非国家主体 / 戦略論 / 食品安全 / ヒバクシャ / 政治的資源 / 時間 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の研究計画では最終年度となる平成29年度は、総括的研究を実施した。そのため共同研究の焦点は、”政治的資源としての時間”の位相の解明/時政学の構築に置かれている。 研究推進の具体的方法としては、基礎的研究段階で各研究者が提示した研究構想に沿って課題を追究する個別研究と、その研究の進捗状況について報告・討議を行う研究会という二つの側面から実施された。 まず平成29年8月24日(木)13:00-18:00 青山学院大学で開催された第5回研究会では、前半で研究アプローチについて検討したうえで、個別の研究状況を報告・討議を行い、時政学研究の成果公開の方法について協議をしている。当日のプログラムは以下の通り。1.前回までの研究会の振り返り&時政学研究のアプローチについての確認、2.個別研究(事例班)からのご報告:大庭先生/今井先生/八木先生(各自20分程度で個別の時政学研究についてご報告いただき、20分程度の議論)、3.時政学研究の成果についての検討、4.共著書刊行の検討、5.今後のスケジュールについて、6.その他。 また平成30年1月28日(日)13:00―18:00に青山学院大学で開催された第6回研究会では、個別研究の報告を踏まえて、共著書企画案の共有・執筆者アンケートの共有、研究アプローチの類型化を行っている。当日のプログラムは以下の通り。1.個別研究からのご報告と討論(佐藤先生、伊藤先生 各20分報告+質疑応答)、2.共著書企画案のご説明、3.執筆者アンケ―トの共有、4.共著書構成および研究アプローチの検討、5.その他(今後のスケジュール・研究会開催など)。 上記2回の研究会の結果、共同研究の成果を4つの類型に整理したうえで、ミネルヴァ書房からの共著書刊行を目指すことが合意された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
時政学の構築に向けた総括的研究についてはやや遅れている。 まず、”政治的資源としての時間”の位相の解明については、第5回および第6回研究会において、個別研究の進捗状況が予定通り報告された。具体的には、宇宙開発における時間、非国家主体と時間、戦略と時間、ヒバクシャにおける時間、食品安全問題の意思決定過程についての事例研究が発表され、それぞれのケースにおいて政治的資源としての時間の位相を抽出することができた。 一方で、総括的研究の最終段階となる時政学の構築については、研究代表者の病気治療のために第7回研究会が開催できなかったため、やや遅れが生じた。しかし第5回研究会では、理論班は政治の「基礎構造」としての時間の持続と変容を各自のトピックに沿って考察することで、政治が展開する「条件としての時間」はどのように持続/変化しつつあるか?(time politics)を解明することが確認された。これに対し事例班は、政治過程における「稀少価値としての時間」を検証し、政策決定者をはじめとする各アクター・事象は、どのように「時間」に制約されている/操作しようとしているか?(politics in/of time)を詳らかにすることが確認されている。 これを受けて第6回研究会では、理論班を現代の時間変容を扱う「世界内戦と時間変容」グループ、近代的な時間認識それ自体を問い直していく「近代的時間の再検討」グループに区分することが決定された。さらに事例班については、アクターの時間資源の多様性を抽出していく「政治的アクターと時間資源」グループ、政策形成における時間枠組みの特性を分析する「政策形成と時間フレーム」グループに区分することを決定した。 これら時政学に関する方法論をさらに洗練したうえで、共同研究の成果を公刊するために研究期間を一年延長し、第7回研究会での最終的な検討を行うことになった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は研究期間の一年間の延長が認められたことから、以下の方法によって共同研究の完成をはかる。1.個別研究成果の論文執筆 2.個別研究成果に関するピアレビュー 3.共同研究成果の公刊。 まず、1については、各分担者が平成30年7月末までに論文を研究代表に提出することが確認されている。これを受けて2では同年8月-9月に第7回研究会を開催して相互に検討を行う。そして3にあたっては、研究代表の高橋良輔および分担研究者の山崎望が編者となり、『時政学への挑戦―ポスト・グローバリゼーション時代の政治動態分析(仮)』をミネルヴァ書房から刊行する。該当出版社の担当編集者との打ち合わせもすでに数回を経ており、平成30年度末の公刊が可能な見込みである。 なお、共著書の構成は以下を予定しているが、第7回研究会であらためて検討修正する可能性がある。 序章「政治研究の時間論的転回」(編者)、【第Ⅰ部 世界内戦と時間変容】第1章「グローバル秩序における時間」(高橋良輔)、第2章「戦争と民主主義における時間」(山崎望)、第3章「戦略論における時間」(八木直人)、【第Ⅱ部 政治的アクターと時間資源】第4章「国際アクターと時間」(中内政貴)、第5章「主導国と時間」(中村長史)、第6章「非国家主体と時間」(今井宏平)、第7章「ヒバクシャと時間」(佐藤史郎)、【第Ⅲ部 政策過程と時間フレーム】第8章「基地政策をめぐる時間」(川名晋史)、第9章「食品安全政策をめぐる時間」(伊藤丈人)、第10章「宇宙開発政策をめぐる時間」(大庭弘継)、【第Ⅳ部 近代的時間の再検討】第11章「国際関係論における時間」(芝崎厚士)、第12章「後期近代における時間」(高澤洋志)、終章「時政学の地平」(編者)
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Causes of Carryover |
共同研究の成果を洗練し、時政学研究の方法論の構築に取り組むため、研究期間を一年延長することが合意された。そのため各分担者においては一年間の延長期間中に必要と思われる使用額をあらかじめ確保していただいた。 加えて平成30年8月―9月に第7回研究会を東京都内で実施予定であることから、遠隔地の分担者(3名予定)の交通費・宿泊費を研究代表者が未使用額として留保している。残額が出た場合には、各分担者の同意のもとで研究代表者が責任をもって使用する。
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Research Products
(20 results)