2016 Fiscal Year Research-status Report
人的およびコンテンツ的ネットワークにより構成される「メディア」概念の研究
Project/Area Number |
15K13071
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
杉山 あかし 九州大学, 比較社会文化研究院, 准教授 (60222056)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | メディア / 社会的ネットワーク / コミックマーケット / ネット選挙 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年実施した「(1)コミックマーケット参加者調査」のデータ取りまとめを行なうとともに、2016年7月10日に投開票が行われた第24回参議院選挙の際のメディア利用に関する「(2)インターネット・モニター調査」を実施した。以下、それぞれの概要について記す。 (1)コミックマーケット参加者調査は、第88回コミックマーケット(2015年8月開催)への参加形態に応じて、①サークル参加者調査、②一般参加者調査、③スタッフ参加者調査、④スタッフ参加者グループ・インタビュー調査、⑤企業参加者調査、の5つの独立した調査を実施したもので、有効回答数はそれぞれ、①39021、②627、③543、④23、⑤29、となった。①~③が質問紙による数量的調査、④と⑤はそれぞれグループ・インタビューと記述式質問紙による質的調査であるので、この回答数は充分なものであると評価される。これらの調査について電子データ化を終了し、数量的調査については統計的分析を開始している。 (2)第24回参議院選挙の際のメディア利用に関するインターネット・モニター調査は、関東地方一都六県を対象に、人口比例割り当てを行ない、1000サンプルのwebモニター調査を実施したものである。実査は株式会社パルクに委託した。男性507、女性493の回答を得た。調査会社より納品されたデータの統計的分析を開始している。 (1)は、「同人誌」というメディアそのものが主題といえるイベントに集まる人々についての調査であるため、当然の話しではあるのだが、メディアを中心とした参加者たちの社会的ネットワークを明瞭に見て取ることができそうである。一方(2)では、メディア選好と政治的立場の関係からメディア利用パターンの同定を目指したが、今のところ、あまりはっきりした類型は得られていない。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
技術的分類ではなく、人的およびコンテンツ的なつながりを核として構成されたメディア利用パターンをもって「メディア」とする、メディア概念の再構築を目指した本研究は、マンガ同人誌と政治メディアという全く異なるフィールドにおいて社会調査を行ない、仮説検証作業を進めている。3年計画の本研究のこれまでの2年間の各年度において、それぞれのフィールドでの調査を実施し、データ収集ができたので、研究計画はおおむね順調に進展しているといえる。最終年である本年度は、データ分析を完了し、最終的取りまとめを行う。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでに実施した調査から、ある程度の結果は得られると予想されるが、一般的なメディア利用パターンとして、「オタク・メディア」あるいは「左翼メディア/右翼メディア」といったものを実態的なものと想定できるかについては、再考が必要かもしれない。可能であれば小規模な追加的調査(インターネット・モニター調査)を行なうことも検討する。
|
Causes of Carryover |
ネットワーク・モニター調査を調査会社に委託して実施した際、実際の支払額が、当初の見積額より若干安価となったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年までに収集したデータの分析において、予想より労力のいる作業が発生しているので、データ分析作業が中心となる最終年において、アルバイト謝金として使用する予定。
|