2016 Fiscal Year Annual Research Report
Reconstructing a City, Creating a Culture: Visual Ethnographic Study on Hiroshima Today
Project/Area Number |
15K13074
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
松尾 浩一郎 帝京大学, 経済学部, 准教授 (50468774)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根本 雅也 一橋大学, 大学院社会学研究科, 研究補助員 (00707383)
小倉 康嗣 立教大学, 社会学部, 准教授 (40626199)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 広島平和記念公園 / 平和記念式典 / 原爆 / コメモラティブ・イベント / ビジュアル調査 / 映像フィールドワーク / 社会調査映画 / ビデオ・インスタレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、原爆投下日である8月6日の広島平和記念公園という一つの象徴的な時間と空間に着目し、ビジュアル・エスノグラフィの手法を用いてその包括的な記録と分析を行った。 平成27年度は主としてフィールド調査によるデータ収集とその整理を行った。およそ81時間のビデオ映像と7時間のインタビュー音声が得られた。映像データは約2,500の断片に分割した上でコーディングを行った。インタビューデータからはトランスクリプトを作成した。 平成28年度は主にデータ分析と成果の取りまとめ、発表を行った。映像データはさまざまな視角から編集し、長編ドキュメンタリー映画、ビデオインスタレーション、ショートフィルムなどの複数の映像作品を制作した。これらの映像作品は本研究の成果として学会大会、国際会議、報告書、ウェブサイトなどにおいて発表した。それと同時に、社会学研究において映像データを利用することについての方法論的な研究や、インタビューを通して得られたデータにもとづく考察、8月6日平和記念公園という場をとりまくさまざまな背景についての検討なども行った。これらの成果はいくつかの学会発表や論文として公表された。また、本研究の成果として生み出された映像作品と論文を1冊にまとめた報告書も作成した。今後この報告書をもとにして単行本を執筆し出版する予定となっている。 本研究から明らかになったことは、8月6日の平和記念公園では、広島における原爆被災とその後の復興の過程が、きわめて多様なやり方で受け止められているということである。原爆という一つの出来事を受け止めるにも、お互いに鋭く対立しあうような複数の立場性がある。それらが一つの時空間のなかで「共存」しているありさまを、複眼的かつ包括的に捉え、ビジュアル・エスノグラフィとしてまとめることができた。
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Research Products
(13 results)