2015 Fiscal Year Research-status Report
社会心理学研究の再現可能性検証のための日本拠点構築
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15K13122
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
三浦 麻子 関西学院大学, 文学部, 教授 (30273569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平石 界 慶應義塾大学, 文学部, 准教授 (50343108)
樋口 匡貴 上智大学, 総合人間科学部, 准教授 (60352093)
藤島 喜嗣 昭和女子大学, 生活機構研究科, 准教授 (80349125)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 再現性 / 再現可能性 / 社会心理学 / 追試 / QRPs |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画は,心理学,特に社会心理学領域における,実験結果の再現可能性の検証を組織的に実施する世界規模の再現可能性検証プロジェクトに参画するために,日本における拠点を構築するものである.具体的には,追試研究の実施の拠点となる研究者ネットワークを形成し,標準化された刺激・手続きの日本語版を作成し,手続きの共有と結果の蓄積・公開をインターネット上で実現する.2015年度の研究実績は下記の4点に集約できる. 1 全体会議の開催 2015年4月25日,8月27日,12月13日の3回にわたり全体会議を開催した.再現可能性を検証する対象研究の選定,得られたデータの分析,学会大会での自主企画ワークショップの企画等を話し合った. 2 追試の実施 全体会議で対象研究として選定したもの(Schnall, Benton, & Benton (2008, Study 2),Williams & Bargh(2008) Study 3など)について,実験材料の収集,日本語への翻訳,追試の実施,データの集約と分析を行った. 3 自主企画ワークショップの開催 日本社会心理学会第56回大会(2015年11月1日@東京女子大学)で本科研費に関するワークショップ「実験結果の再現可能性検証に関する諸問題」を開催し,プロジェクトの概要と進行状況を報告し,再現可能性検証に際する様々な問題点について議論するとともに,実際の検証事例を紹介し,多数の参加者と意見交換を行った. 4 Web連載/ブックレットの刊行 株式会社ちとせプレス「サイナビ!」でプロジェクトを紹介する記事「心理学研究は信頼できるか?――再現可能性をめぐって」を4回にわたって連載し,ブックレットとして刊行した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究拠点構築のための具体的作業は順調に進行しており,当初計画以上の進展もあった.「研究実績の概要」に述べたうち1~3は当初計画の範囲内であるが,4については開始後に出版社より企画の申し出があったもので,社会心理学の研究結果の再現可能性は学界のみならず一般社会でも大きな注目を集めていたため,研究成果をより広い対象に広報する手段として活用することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降も,基本的には2015年度と同じ流れを積極的に推進する.追試を実施する研究を精選し,複数環境で追試を実施してデータを蓄積する.そして,その成果を学術論文やワーキングペーパの形で公刊すると共に,多様な手段で広報活動を展開する. また,研究代表者は,2016年8月刊行予定の『心理学評論』再現可能性特集号を担当編集委員として編集中であり,研究分担者と連携研究者による4本の論文が既に掲載決定している. さらに,2016年9月17-18日に開催される日本社会心理学会第57回大会(関西学院大学)に,再現可能性問題について積極的な研究活動をする世界的研究者のひとりであるDr. Daniel Lakens氏を招聘する準備を進めている.
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Causes of Carryover |
研究期間開始後に,2016年度に海外から関連研究者を招聘することが決まり,その予算確保のために相応の金額を次年度使用のために繰り越した.その費用を捻出するため,実験マテリアルの翻訳作業や実験補助などにアルバイトを雇用することをとりやめた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度と同様に,主たる支出は研究班の全体ミーティング,および成果発表のための出張旅費である.また,Dr. Daniel Lakens氏(University of Einthoven)を9月に日本に招聘し,日本社会心理学会第57回大会での講演,および慶應義塾大学でのセミナーを開催する.また,論文投稿料等も必要となる.
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Research Products
(3 results)