2017 Fiscal Year Research-status Report
米国巨大財団の高等教育政策形成への影響の研究―コンピテンシー・ベースド教育の行方
Project/Area Number |
15K13175
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
船守 美穂 国立情報学研究所, 情報社会相関研究系, 准教授 (70377141)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高等教育政策 / 財団 / 政治 / 政権 / 社会変革 / 非営利セクター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ゲイツ財団やルミナ財団などの米国巨大財団が高等教育政策にどのような影響を与えているかを把握することを目的としている。米国の財団はフィランソロピー(慈善事業)と言っても、ソーシャル・イノベーション(社会変革)を目的としており、これを効果的に実現するために財団が、社会制度を担う連邦政府や州政府に対しても働きかけを行い、連携しながら、最大の効果を得ようとする。実際、オバマ政権は市民社会による変革の力を強く信じ、非営利セクターや財団などと積極的に連携したため、この時代は財団・政権の双方にとっての蜜月であった。 他方、トランプ政権になり、同政権の大学等に対する批判にみるように、現政権は非営利セクターには全般に冷ややかな対応となった。税制改革により非営利セクターにおける税制優遇が縮小し、その直前の駆け込みでの助成はあったものの、財団による助成はその後淡々と進行している。財団は特定の課題に対するアドボカシーを伴うことが多く、たとえばトランプ政権の移民政策に対して強く反撃に出た財団もいくつかあったが、多くは目立つことを恐れ、密やかにマイノリティを支援している。その他の領域においても、財団はトランプ政権に対して密かに反抗しているが、その反抗は水面下で行われ、歴史に残ることはないと言われている(Inside Philanthropy “Trump Effect”より)。いずれにしても、政権とフィランソロピーのあいだの蜜月という状態はなくなり、関係が疎遠になっている。 財団からの政策への関与は薄れたが、一方でこれは財団の現政権からの忌避というよりは、フィランソロピーにおいて最大の効果を得る上で政府に働きかけることが逆効果と判断した結果と見ることもできる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は米国巨大財団が政策に及ぼす影響を把握・評価することを目的とする。一方、トランプ政権が2017年に誕生してから、財団と政府との関係が混沌・不連続となり、研究続行が困難となった。このため研究費の一年延長を申請し、事態が落ち着くまで待つこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、トランプ政権と財団との間の動静をウォッチしながら、可能であればこれまで話を聞けていない政府側の財団に対する見方を取材したい。しかしトランプ政権においてこれが引き続き難しい場合は、財団関係者が集う会議に参加するなどし、財政府との関係について財団側にインタビューを行いたい。
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Causes of Carryover |
本研究は米国巨大財団が政策に及ぼす影響を把握・評価することを目的とする。一方、トランプ政権が2017年に誕生してから、財団と政府との関係が混沌・不連続、研究続行が困難となった。このため研究費の一年延長を申請し、事態が落ち着くまで待つこととした。 現状においても事態が落ち着いているのはまだ言えないため、引き続き、トランプ政権と財団との間の動静をウォッチしながら、可能であればこれまで話を聞けていない政府側の財団に対する見方を取材したい。しかしトランプ政権においてこれが引き続き難しい場合は、財団関係者が集う会議に参加するなどし、財政府との関係について財団側にインタビューを行いたい。
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Research Products
(18 results)