2015 Fiscal Year Research-status Report
地方創生にはたす教育施設・人材の新たな活用に関する日英比較研究
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15K13198
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮腰 英一 東北大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (50166138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉原 美那子 高崎経済大学, 地域政策学部, 准教授 (00422147)
大桃 敏行 東京大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (10201386)
青木 栄一 東北大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (50370078)
西出 優子 東北大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (60451506)
若林 直樹 京都大学, 経営学研究科, 教授 (80242155)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 地方創生 / 公共図書館 / 公民館 / 生涯学習 / まちづくり・人づくり / 自治体とNPOの連携 / 子育て支援 / 社会ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本科研の初年度として、分担者・研究協力者と国内外の調査候補地の選定とその調査結果をどの学会で報告するかを中心に検討した。その結果、山形県西川町、熊本市植木町、青森県浅虫町、佐賀県伊万里市などが候補地として挙がった。平成27年3月の教育再生実行会議の第6次提言「『学び続ける』社会、全員参加型社会、地方創生を実現する教育の在り方について」を受けて、その趣旨を実行している自治体として伊万里市をまず訪問調査することにした。10月初旬に伊万里市の小中学校、図書館や公民館などの社会教育施設を訪問し聞き取り調査を実施した。その調査結果の成果を平成27年11月7日に日本教育制度学会第23回大会(奈良教育大学)課題別セッションⅢ(生涯学習部会で発表した。伊万里市は現在国が提唱する地方創生の具体的施策に向けて市長を本部長とする「伊万里市まち・ひと・仕事創生総合戦略」室を設置し、創生総合戦略を作成中である。産業、行政、教育金融などの分野から代表を募り、子育て支援、学校教育、図書館、公民館の新たな活用を検討している。なかでも市民社会組織と行政の協働による街づくりに特徴がある。第1に子育て支援センターによる「子育てしやすいまち」づくり、第2に図書館、公民館、学校、家庭を通しての「」家読(うちどく)の実践、第3に地域の伝統文化を生かしたまちづくりを進めるため、生涯学習の柱として「伊万里学」の推進。伊万里市は持続可能なまちづくりにむけて、歴史と文化・伝統を共有しつつ時代に合った都市づくりで「安心で住みやすいまち」づくりを着実に進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第1に、初年度は、研究分担者と協力者の間で研究方針を再確認し、調査候補地の選定にあたった。第2に5人の研究分担者と協力者が一緒に伊万里市を訪問し、教育行政学・制度学、図書館学、社会教育学、教育課程論などそれぞれの専門的視点からインタビュー調査を実施できたこと。その成果を日本教育制度学会で共同発表をおこなったこと、第3に、東北教育学会で個人発表をおこなったこと。第4に現在、学会発表の結果をもとに投稿論文等を作成中であること。第5に個人研究として、『教育制度学研究』に4編、『経済社会学会年報』に1編が掲載されたこと。第6に英国につての研究はネット上の資料や2次文献で進め、現地調査は実施できなかったが、全国共通の職業資格の難易度別格付けの現状を明らかにし、資格を取得することで全国的な移動を可能とし、都市部から地方への人口移動を促進していることがわかったこと。 以上のように初年度は、縮減された予算のなかで研究計画の核心部分について実施できたこと。 以上より、概ね順調に進展していると自己点検評価を行う。 英国調査については、初年度はインターネット、文献などによる情報収集に限られたこと、さらに地方創生に果たす市民社会の役割についての理論研究についても不十分であった。次年度は優先課題として取り組みたい。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に引き平成28年度も訪問先を選定し、聞き取り調査を実施する。 予算の削減で初年度実施ができなかった海外学術調査(英国)を実施し、英国のコミュニティ創生事業を明らかにし、日英の差違性と共通性を解明する。調査結果の情報を共有化し、教育学会など関連学会で研究成果報告を個人で、あるいは共同で発表する。 教育学会など関連学会で成果報告をおこなう。 調査研究に加え、NPOや市民社会論に関する理論研究にも力を入れる。
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Causes of Carryover |
初年度に海外(英国)調査を計画していたが、助成金の支給額が申請額から大幅に削減されたため、初年度での実施を見送り、残額を基金として留保し、次年度の計画に充当するために未使用とした。 国内調査においても、地方自治体への訪問調査を計画していたが、日程調整が不調に終わり、27年度の実施を断念し、次年度に再度日程調整を図り、訪問調査を遂行することとしたため未使用部分が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2年目の28年度は英国の自治体調査を実施する予定である。そのため前年度の繰越金を渡航費、交通費、滞在費、書籍や資料収集などの経費の一部にあて、効果的に使用する計画である。 国内の地方自治体・NPOへの調査においても、前年度の未使用金を効果的に使用して研究計画を遂行する。
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Research Products
(13 results)