2016 Fiscal Year Research-status Report
地方創生にはたす教育施設・人材の新たな活用に関する日英比較研究
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15K13198
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮腰 英一 東北大学, 教育学研究科, 教授 (50166138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉原 美那子 高崎経済大学, 地域政策学部, 准教授 (00422147)
大桃 敏行 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (10201386)
青木 栄一 東北大学, 教育学研究科, 准教授 (50370078)
西出 優子 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (60451506)
若林 直樹 京都大学, 経営管理大学院, 教授 (80242155)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 地方創生 / コミュニティースクール / 定住促進 / NPO / エディンバラ大学 / 大学と地域連携 / 市町村連携 / 社会ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、前年度に続き日英の訪問調査を実施するとともに、28年度東北教育学会大会シンポジュウムで企画し報告を行った。 1.伊万里市の報告を「自治体における地方創生の試み」として文章化した。同市は「家読」といった学校、家庭の協同で子供の読書習慣の形成に力を注いでいる。学力の向上を図ることで教育推進地域特性を引き出している。他方、生業という視点から企業、NPO、大学、ボランティア等との協働関係を築くことが今後の課題となる。 2.長野県飯山市への訪問調査の実施。人口2万1千人余りの同市は、地域特性を生かし、市長はじめ全市民総掛かりで、地方創生に取り組んでいる。その第一は信州型コミュニティースクールで、学校と地域が一体となって子供の子育て支援の仕組みを作った点である。CSの核となる運営委員会は、PTA・公民館・育成会・民生児童委員・自治会などの代表者で構成される協議の場である。一方地域・家庭からの学校支援ボランティアが協働して組織的に学校支援を行っている。CSの運営委員会が同時に地方創生を担う組織となっている。第二に信越9市町村の共同による信越自然郷の観光開発である。北陸新幹線の開通で首都圏のみならず海外からの観光客も増加し、信越トレール スキーなどのリゾート開発や同地域への定住促進も進められている。 3.英国における大学と地域連携の実態を調査した。スコットランドの大学は、歴史的に市民の学びの場として発展してきた。中でもエディンバラ大学は、研究、教育に加え、「市民の学習する地域」でもあり起業、経済の活性化、地方創生など学生・教職員の地域活動により「よき市民」を育てている。エディンバラ大学の地域連携活動については東北教育学会第74回大会公開シンポジウム「大学と地域連携の新たな課題」で報告した。 4.ほかに、山形県東根市、村山市の調査を次年度の学会大会で報告し、その成果を論文に纏める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.研究成果を学会で報告し、機関誌に掲載できたこと。 2.前年度に実施できなかった英国調査を遂行し、スコットランドのエディンバラ大学などから貴重なデータを収集できた。 3.研究成果の一部を、東北教育学会第74回大会のシンポジウム「大学と地域連携の新たな課題」で公開できた。 4.地域企業と大学との連携による人材育成、地方創生事業について知見を得たこと。 5.NPOの活動による震災復興活動実態をあきらかにできたこと。 このようにNPOなど非営利活動法人の貢献など、当初計画に入れなかった事項についても成果をあげることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は、以下の3点を基軸にしている。 1.今年度に引き続き、特徴ある事業を展開している自治体に新たに訪問調査を実施する。 さらにこれまで訪問した地域、自治体の地方創生事業を学校と地域連携、学校の中 核的役割を視点に、地方創生を牽引する力となるかどうかを探る。 2.地方への定住促進事業の成功例を分析し、他自治体への汎用可能性を探る。 3.研究成果を日本教育制度学会、日本教育行政学会、日本教育学会など関連学会で報告 し、論文を投稿する。 4.3年間の研究成果を「研究成果報告書」としてまとめる。
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Causes of Carryover |
研究分担者2名が、それぞれ米国の大学への留学とサバティカルで分担金を使用しなかったため、残余金がでた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越金は、3カ年の研究実績を関連学会で発表するための旅費、並び研究成果報告書作成のための経費として使用する。
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