2017 Fiscal Year Research-status Report
射影多様体上の線型作用の極限のなす半群に関する研究
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15K13421
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
齋藤 睦 北海道大学, 理学研究院, 教授 (70215565)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 代数半群 / 線型代数半群 |
Outline of Annual Research Achievements |
線型代数群のベクトル空間への作用の極限については、プッチャ、レッナーなどによる線型代数半群の理論が存在し、線型代数群の理論に準じた理論が構築されている.しかし、極限を考察するからにはコンパクト化した状況を考察するべきである。そうした背景の下、本研究課題の目的は線型代数半群の理論のコンパクト化した状況での基礎理論の構築である。 平成28年度までに一般次元の射影空間上の線形変換の極限全体からなる半群PM(V)を定義し、その具体的な記述や、その位相的ないくつかの性質が得られていた。しかし、平成29年度にそのコンパクト性の証明に不備が発見されたため、その証明の修正にある程度の時間を割くこととなった。結局、点列の一般化であるネットの理論を援用して証明を修正した。修正した証明では、コンパクトであることと極大ネットが必ず収束することが同値であるという位相空間論の一般的な結果を使う。つまり点列コンパクトであることの一般化を示すということになる。PM(V)の定義のアイデアから、点列コンパクトであることは直感的に見やすく、結果として、証明はより簡潔・明快なものになった。関連するその他の位相的性質や半群としての性質、並びに、Neretin氏によるHingeの理論との関連も含め、「Projective linear monoids and hinges」というタイトルの論文にまとめ、arXivにアップロードした。これにより、射影一般線型群が射影空間に自然表現として作用する場合に関しては、本研究課題の目的の第1段階をクリアしたと言って良いかと思う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コンパクト性の証明の修正に成功し、論文を書き上げたものの、コンパクト性の証明の修正に時間を割かれ、その後の研究の深化、推進まで手が回らなかった。従って、やや遅れていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度予定していた複数回の出張が実施できなかったので、平成30年度では、研究集会に参加、或いは個別に関連する研究者と会い、得られた成果について議論することなどにより、成果をさらに充実させたい。
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Causes of Carryover |
研究打ち合わせの旅行が一部できなかったことにより、使用残額が生じ、補助事業期間を延長させて頂いた。次年度に旅費として使用する。
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Research Products
(1 results)