2016 Fiscal Year Research-status Report
電磁プラズマ流体シミュレーションの共通数値解法の開発:MHDから多流体まで
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15K13572
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
梅田 隆行 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 講師 (40432215)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | プラズマ・核融合 / 宇宙科学 / ハイパフォーマンス・コンピューティング / 超高層物理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
電磁流体プラズマシミュレーションと運動論プラズマシミュレーションとの間で生じる計算結果の違いに着目し、運動論方程式であるブラソフ方程式から電磁流体方程式を導く過程で近似・消失した項について確認した。この過程で消失した応力テンソル項及び熱輸送テンソル項について、磁気流体力学スケールのレイリー・テイラー不安定性の第一原理運動論ブラソフシミュレーション結果よりそれらの効果について定量的な評価を行った。その結果、イオン及び電子の応力テンソル項の両方は磁気流体スケールの現象にはほとんど影響しないが、イオンの熱輸送テンソルは粒子スケールの二次的な不安定性を発生させる際の要因となっていることを明らかにした。 さらに、イオンジャイロ半径スケールおよびイオン慣性スケールの2通りのレイリー・テイラー不安定性の第一原理運動論ブラソフシミュレーションを行った。イオンジャイロ半径スケールのシミュレーションでは、磁気流体スケールの場合と同様にイオンの応力テンソル項は小さな値であった一方で、電子の応力テンソル項が無視できない値を示すことが分かった。イオン慣性スケールのシミュレーションでは、レイリー・テイラー不安定性によって生じる密度擾乱の構造がホール効果によってイオンジャイロ運動とは逆向きに曲げられることが分かった。また、このホール効果は分極電場に起因しており、プラズマ流体に圧縮性の流れを生じさせる効果があることを明らかにした。 以上の結果より、従来の流体シミュレーションでは無視されている熱輸送テンソル項が、運動論と流体力学を分けている1つの要因となっていることを示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電磁流体プラズマシミュレーションと運動論プラズマシミュレーションとの比較により、応力テンソル項と熱輸送テンソル項についてのある程度の知見が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
応力テンソル項と熱輸送テンソル項を含んだ電磁流体プラズマ方程式について、数値解法の検討を開始する。また、これらの項について、有限ジャイロ半径近似が適用可能かどうかの検討も行う。
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Causes of Carryover |
プログラム開発がやや遅れたため、国内の連携研究者や研究協力者との打ち合わせが十分に行えなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これまでに得られた研究成果の発表旅費に使用する。
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