2015 Fiscal Year Research-status Report
原始地球表層における化学進化反応の鉱物触媒効果をナノ分光学的に解明する
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15K13601
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
原 正彦 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (50181003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 隆章 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 助教 (90600651)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 化学進化 / 原子間力顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
力検出感度が高い原子間力顕微鏡(AFM: Atomic Force Microscopy)を用いて生体低分子と鉱物表面の相互作用をナノスケールで分光分析する手法の開発に取り組んだ。任意の生体低分子を金属プローブ先端に修飾し、生体低分子と鉱物表面間の距離をオングストロームスケールで制御しながら相互作用を分光分析することによって、鉱物表面とアミノ酸分子の吸着相互作用を定性的かつ定量的に分析することが可能である。本年度は、溶液中において金属プローブを用いてナノ分光分析するシステムを構築した。溶液密閉セル中の金属プローブの先端にレーザー光を照射し、先端に誘起された局在表面プラズモンによる電場増強効果を用いて試料分子の光学応答(ラマン散乱・蛍光)を検出することが可能となった。これにより、種々のpHの溶液下において生体分子-鉱物相互作用をナノスケール分光分析することが可能となった。また、金属ナノプローブ先端の形状やサイズを制御することによって光照射下のプローブ先端温度を数百度程度まで上昇させることができることがわかった。これにより、局所的な熱水孔を模倣することが可能となり、局所的な温度勾配が生体分子と鉱物の相互作用に与える影響を調べることも可能となった。今後は、ナノスケールのレーザー分光と原子間力顕微鏡を用いた力分光測定を組み合わせることによって、生体低分子と鉱物表面の相互作用をナノ分光学的に解明する予定である。また、金属ナノプローブ先端の電場増強効果を利用して、鉱物表面に吸着させた生体低分子のレーザー分光も行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、溶液下で生体低分子と鉱物の相互作用を分光分析するシステムが構築されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ナノスケールのレーザー分光と原子間力顕微鏡を用いた力分光測定を組み合わせることによって、生体低分子と鉱物表面の相互作用をナノ分光学的に解明する予定である。また、金属ナノプローブ先端の電場増強効果を利用して、鉱物表面に吸着させた生体低分子のレーザー分光も行う予定である。さらに、生体低分子の重合反応における鉱物表面の触媒効果についても分光分析する予定ある。
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Causes of Carryover |
繰越額が生じた理由:消耗品の支出額が当初の予定より減額したため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度分予算とあわせた使用計画:アミノ酸分子などの化学薬品の購入費に充てる予定である
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Research Products
(4 results)