2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K14096
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊從 勉 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 名誉教授 (00151689)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中嶋 節子 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (20295710)
佐野 亘 京都大学, その他の研究科, 教授 (20310609)
小林 丈広 同志社大学, 文学部, 教授 (60467397)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 都市制度 / 地方制度 / 特別都市制度 / 都市計画法 / 地方自治 / 地方分権 / 都市内分権 / 都市圏 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究開始にあたり、2015年5月に京都で開催された京都大学・ボルドー大学共同研究シンポジウム「都市政策」部門のコーディネートを、本研究責任者伊従が担当した。その機会を利用し、日本近代都市計画法制度とフランスの戦後都市計画制度とを比較する作業を発表し、日仏の立場から論評した。次いで、戦前日本の都市制度として、市制町村制と都市計画法制が意図的に切り離されていたことが、戦後日本の地方自治法と都市計画法との断絶状態にも継続された巨視的事情を把握することを7月の研究会の場で提示した。この制度経過のスキームは、今後の個別研究の報告のなかで、検証されていくことになる。個別事例の研究報告は以下の通り。 戦後の松江国際文化観光都市建設法制定過程にみられる、戦前の都市計画および同事業制度から戦後の個別建設法適用へと推移する段階の問題点を明らかにした(工藤泰子、島根県立大学短期大学部、12月)。 次いで、フランスの戦後共和制下の都市制度の概要を報告してもらい、研究班の共通認識に供することにした(江口久美、日本学術振興会特別研究員、2016年1月)。 そして、近年の日本の地方制度改革のうち、大都市における「都市内分権」の進捗状況を報告してもらい、都市自治制度における現代的問題の把握に努めた(三浦哲司、名古屋市立大学、同年3月)。 以上のように、フランスの戦後地方制度における都市制度の概要の把握と、日本の戦後および現代における都市制度の問題の概要を把握することに寄与した1年であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、日本近代・現代の都市制度の特性を明らかにすることが第一目標であったが、2015年5月の京都大学・ボルドー大学共同研究を最初に行ったことによって、第2年度に予定していたフランス戦後の都市制度の問題も同時に把握する作業に入った点で、予定以上の進捗である。 他方、日本の都市制度の経過の把握に関しては、概要のスキームを描き、伊従の2015年論文と上記ボルドー大学シンポに発表した、日本都市計画制度における行政主導の問題点の指摘に止まり、研究協力者の研究発表以外に研究分担者の寄与が明確でなかった点は、2年目の研究進展に期待を残す結果となった。 総合的に見て、上記の自己点検評価となる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究経過に対し、フランスの都市制度の研究は、予定通り、本年度中にフランス側の研究者とワークショップを開催する予定。広範な都市制度の問題のうち、検討事項を絞り込む作業を前半に予定する。 遅れている日本の近代現代の都市制度の課題については、今後、一層の考察を進めるが、これについても、検討事項を都市圏の規定と関係する事項に絞って検討する予定である。
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Causes of Carryover |
科学研究費補助金研究の予算執行処理に関する学内システムが大幅に変更されたため、研究分担者に配当された分担金の周知が十分でなかったため、ひとりの分担者について予算執行ができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度と合わせ、今年度に、分担者に執行をお願いする。
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Research Products
(9 results)