2015 Fiscal Year Research-status Report
光造形技術を利用した端面燃焼式ハイブリッドロケットの実現と性能実証
Project/Area Number |
15K14243
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
永田 晴紀 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40281787)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ハイブリッドロケット / 端面燃焼 / ロケット / 航空宇宙工学 / 燃焼 / 固体燃焼 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高い燃焼効率、燃焼の全期間での定常な燃焼、優れたスロットリング特性等、多くの利点が理論的に示されながら、固体燃料の形状が加工困難であったため実証研究が断念されてきた端面燃焼式ハイブリッドロケットについて、紫外線硬化樹脂の光造形技術に一次元規制液面法という独自の手法で高精度を実現した3Dプリンタにより、従来の手法では製作が困難であった構造の燃料樹脂を成型し、端面燃焼式ハイブリッドロケットの優れた動作特性を実証することを目的とする。本年度の成果の概要は以下の通りである。 (1) 微小単ポート燃料試料を用いた燃え広がり/安定燃焼機構の調査: 端面燃焼式ハイブリッドロケットは、本提案者らによって2002年に初めて報告された「安定燃焼モード」を利用する。過去の研究により、ポート内酸化剤流速が、壁面摩擦速度により決まる臨界値を超えると、燃え広がり燃焼から安定燃焼に移行することが判っているが、これまで調査されたポート内径は最小で1 mmである。本サブテーマでは、ポート内径が0.5 mmを下回る条件でも上記物理機構が成立するかを調べる。今年度は0.5 mm、0.3 mm、および0.2 mmのポート内径で、大気圧条件下でデータ取得を行い、ポート内径0.5 mmで安定燃焼から燃え広がり燃焼への移行を、0.3 mmで安定燃焼を観測した。安定燃焼が得られる酸化剤流速の最小値は、いずれのポート径でも、過去に得られた臨界値に一致することを確認した。 (2)マルチポート燃料試料を用いた端面燃焼式ハイブリッドロケットの実証:外径20 mm、軸長50 mm、ポート径0.3 mm、ポート数85個の燃料試料を製作し、地上燃焼実験を行った。その結果、点火後10秒程度で定常状態に達し、端面燃焼式の特徴的な燃焼特性が初めて実証された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サブテーマ1については平成27年度中に完了する計画であったが、高圧力雰囲気下での燃焼特性取得が28年度に持ち越された。一方で、サブテーマ2については、当初は平成28年度までに完了する内容をほぼ終えることが出来ている。全体としては、おおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
サブテーマ1については、高圧力条件下での燃焼特性取得を平成27年度末に開始したところであり、平成28年度も継続してデータの蓄積を継続する。サブテーマ2については当初計画をほぼ達成しているが、より高精度のデータ取得を目指して、スケール比で2.2倍の燃料試料を製作し、データ取得を継続する予定である。
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Causes of Carryover |
サブテーマ1「微小単ポート燃料試料を用いた燃え広がり/安定燃焼機構の調査」については、高圧力雰囲気下でのデータ取得が次年度に繰り越しとなったため、これに必要な経費についても合わせて繰り越しとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記サブテーマの経費に使用する。尚、サブテーマ2については当初予定を超える進展が得られているため、全体としては研究の進展は順調である。
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Research Products
(5 results)