2016 Fiscal Year Research-status Report
神経選択的サイレンサーNRSF/RESTバリアントによる老化脳制御
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15K14352
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
森 望 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (00130394)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 神経細胞 / ニューロン / 老化 / 加齢 / 酸化ストレス / 蛋白質凝集ストレス / DNA損傷 / 神経保護 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスの脳内でのNRSF発現レベルについて、若齢、中齢、老齢について比較した結果、老化脳での発現が高くなることを確認できた。ついで、マウス胎児脳海馬からの初代培養神経の長期培養系で、若齢期と老齢期での比較をしたところ、老齢ニューロンでの発現強化が確認できた。 次いで、培養神経細胞にNRSF遺伝子導入したものとしていないものについて、酸化ストレス(H2O2)負荷後の細胞の生存率を比較した。その結果、NRSFを導入した細胞群ではストレス耐性が高いことがわかった。また、初代培養神経細胞への遺伝子導入とは別に、ニューロンのモデル細胞系であるNeuro2a細胞にドキシサイクリン(DOX)でNRSFを誘導できる系を樹立し、この細胞を使って、酸化ストレス(H2O2)と蛋白質凝集ストレス(MG132)の効果を比較検討した。ここでは特にDNA損傷をg-H2AX fociの数として定量的に比較した。DOXでの誘導細胞と非誘導細胞とで比較すると、DOX誘導によるNRSF発現誘導細胞では、DNA損傷が低下することがわかった。ただし、30分の誘導でははっきりとした効果があるが、2時間の誘導では細胞の生存へのダメージが観察された。つまり、短時間処理ではNRSFは細胞保護効果があるが、長時間誘導では逆に細胞死を誘発するらしい。したがって、NRSFの発現レベルによって、あるいは発現後の蛋白質修飾の状況によって、結果が異なるように思われた。今後、それぞれの時点でのNRSFの化学的実体、他の蛋白質との共存状態などを注意深く観察していく必要があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
米国のGail MandelのグループからNRSFによる神経幹細胞のゲノム安定性維持への寄与が指摘されたことをうけて、実験系に神経細胞のDNA損傷レベルを測定することを追加した。また、Neuro2a細胞への遺伝子導入系だけでなく、事前に組み込んだNRSF遺伝子のDOXによる誘導系も確立した上で実験を進めており、そのため時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度への一年延長を認めていただいたので、他の補強実験を追加して論文のとりまとめを努力する。
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Causes of Carryover |
研究の進行が若干遅れたことと、次年度での確定研究費がなかったため、多少なりとも研究資金を残しておく必要があった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残りの研究を遂行するための実験消耗品、成果発表のための旅費、論文のとりまとめのための経費、として使用する予定。
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[Journal Article] Involvement of the neuronal phosphotyrosine signal adaptor N-Shc in kainic acid-induced epileptiform activity.2016
Author(s)
Baba S, Onga K, Kakizawa S, Ohyama K, Yasuda K, Otsubo H, Scott BW, Burnham WM, Matsuo T, Nagata I, Mori N
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Journal Title
Sci. Rep.
Volume: ー
Pages: ー
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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