2016 Fiscal Year Research-status Report
採卵・顕微注入・移植を要しない、新しい遺伝子改変マウス作製法の開発と応用
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15K14371
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
大塚 正人 東海大学, 医学部, 准教授 (90372945)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 健太 東京農業大学, 生物産業学部, 准教授 (20508113)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ゲノム編集 / マウス / CRISPR/Cas9 / エレクトロポレーション / in vivo |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度は、白内障モデルの開発に成功しただけでなく、GONAD法の改良に多くの時間を割き、以下の結果を得た。 最近、mRNAではなくタンパク質のCas9を用いて、より効率よくゲノム編集を行える報告がある。そこで今回、Cas9タンパク質とcrRNA/tracrRNAを用いてGONAD法によるゲノム編集が可能かを調べた。その結果、Cas9タンパク質とcrRNA/tracrRNAのRNPを用いたGONADが可能であること、また極めて高効率で変異マウスが得られることが示された。 上記結果から、RNPを用いればノックインも可能であるのではないかと考え、その検証実験を行った。ICRマウスのチロシナーゼ遺伝子の変異領域にgRNA標的配列を設計し、野生型配列を有するssODNを導入することによるレスキュー実験を進めた。その結果、おおよそ50%もの高効率で、GONAD法でのssODNのノックインが可能であることがわかった。また、チロシナーゼ遺伝子レスキューについては、GONAD法が顕微注入法よりも効率が良い結果が得られた。 ここまでの実験は古いBTXのエレクトロポレーター機器を用いて行ったものである。本実験系の汎用性の高めるためには、誰でも入手可能な機器を用いる必要がある。そこで、最新型のエレクトロポレーターの一つであるNEPA21を用いてGONADによるゲノム編集マウス作製の可能性を検討した。最終的に、NEPA21でもBTX T820と同程度の効率でのGONADが可能であることが示された。 ゲノム編集法を用いると、大きなDNA領域の欠損作製を受精卵で行うことが可能である。そこで、本研究では、GONAD法でも欠失を作製できるか否かを検討した。B6マウスのアグーチ遺伝子のイントロンに存在するretrotransposon配列を欠損の標的として実験を行った結果、GONAD法を用いて欠失個体を作製できることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたpiggyBacの導入実験は行わなかったが、実際にGONAD法を行う上で極めて重要な実用性の部分で大きな進展(ゲノム編集効率に関して大幅な改善を行うことに成功)があったこと、以下の実績をあげることができたことから、計画以上に進展しているという評価とした。 GONAD法は新しいゲノム編集動物作製法として国内外から注目を浴びており、実際に実験手技を見学したいとの依頼を多数受けて実施している。2016年度は分子生物学会シンポジウムでの講演、SKIP×幹細胞若手の会 Symposium 2016での講演依頼、先端モデル動物支援・若手技術講習会でのベストトーク賞受賞などを受けている。また、海外の雑誌Genetic Engineering & Biotechnology News (GEN)で紹介されるなどした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、GONAD法を利用して様々なモデルマウス作製や新たな技術改善を目指していく予定である。他のマウス系統やラットや他の動物での実施を考えている(共同研究ベースで)。また、ドイツで開催されるEMBOコースで手法のデモンストレーションを行う予定もあり、独自の手法を世界的に広めることができるものと期待される。これまでの結果についても論文化する予定である。さらに、手法を一般化させるためにも詳細なプロトコルを発表していきたい。同時に、2016年度に行わなかったpiggyBac導入の実験も進めていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
当該年度は、同様の研究内容を一部含むテーマで学内予算を新たに獲得できたため、旅費や共同利用施設利用料などをそちらから捻出することができた。また、試薬等の一部をメーカー側から試供品として提供していただけるなどの想定外のこともあり、消耗品費を節約可能であった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究で開発した技術を世界中でできるだけ広く活用してもらうために、さらなる技術改善を試みるとともに、複数の学会で宣伝したり国内外の研究者に向けてデモンストレーションをするなどを進めていく予定であり、そのための費用として使用する。また、これまでの結果を複数の論文としてまとめ投稿するために、英文校正や出版費を要することとなる。
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Research Products
(10 results)
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[Presentation] ex vivo胚操作が不要なゲノム編集マウス作製法2016
Author(s)
大塚 正人, 高橋 剛, 和田 健太, 三浦 浩美, 佐藤 正宏
Organizer
平成28年度新学術領域研究「学術研究支援基盤形成【先端モデル動物支援プラットフォーム】」若手支援技術講習会
Place of Presentation
蓼科グランドホテル滝の湯(長野県茅野市)
Year and Date
2016-09-14 – 2016-09-17
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