2015 Fiscal Year Research-status Report
TERTリン酸化機構とRdRP活性制御の分子基盤の解析
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15K14482
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
増富 健吉 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (20450570)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | タンパク質リン酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(human telomerase reverse transcriptase:以下TERT)の意義は、S期特異的に合成される逆転写酵素複合体によるテロメア長維持にあると考えられてきたが、我々のグループは、TERTがテロメア構造維持以外の生理機能を持つこと(Cell 2003, Masutomi et al., PNAS 2005, Masutomi et al. )、および、逆転写酵活性以外にRNA dependent RNA Polymerase (RdRP)活性を有することを報告し (Nature 2009, Maida et al.)、さらには、M期特異的に合成されるTERT-RdRP活性によるヘテロクロマチン状態の制御に関わることを報告してきた(PNAS 2011, Okamoto et al., MCB 2014, Maida et al.)。また、M期にセントロメア、紡錘糸およびmidbody(MCB 2014, Maida et al.)に存在することも見出してきた。TERTが、S期特異的に合成される逆転写酵素複合体とは異なる複合体により、細胞周期の異なる時期(M期)に、異なる酵素活性(RdRP活性)でテロメアとは異なる染色体ヘテロクロマチン領域(セントロメア領域など)を制御していることに注目し、「M期特異的に形成されるTERT-RdRP活性を保証するTERTリン酸化の分子基盤解明」を目指し研究を進めた。 本年度は、hTERTはM期特異的にリン酸化され、M期特異的リン酸化がhTERT-RdRP活性には必須であることを確認した。一方で、従来から知られているhTERTの逆転写酵素活性にはリン酸化は関与しないことも確認した。さらに、リン酸化部位の同定のために、M期に同調した細胞(HeLa細胞、293T細胞など)を用いて網羅的にタンパク質質量分析解析(MASS解析)にによりTERT由来リン酸化ペプチドの同定を試み、リン酸化ペプチドを検出しリン酸化部位を同定した。また、同定した4箇所のリン酸化部位を含むペプチドを抗原として、リン酸化部位特異的抗体の作製を行った。これらの抗体はリン酸化TERTを検出することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請計画の予定通りに順調に進展している
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Strategy for Future Research Activity |
本年度、独自に作製したリン酸化TERT認識抗体を用いて引き続き研究を推進する。また、リン酸化にかかわるキナーゼの同定にも取り組む。
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Causes of Carryover |
当初予定していた方法での研究が予定より順調に進んだため、試薬の購入が予定していた量より少なく済んだため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
成果発表の機会を予定より多くする計画に利用する。
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