2018 Fiscal Year Research-status Report
拮抗する自然選択による集団内の遺伝的多様性維持:一見不適応な花形態は何を物語るか
Project/Area Number |
15K14592
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
土畑 さやか (中川さやか) 京都大学, 農学研究科, 研究員 (00750621)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 集団内変異 / 花形態 / 二年生草本 / 生活史 / ロゼット |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 開花株ロゼットの頻度調査 二年生一回繁殖型の植物(二年生草本)では、一年目に根茎葉の栄養器官(ロゼット)を形成して越冬し、二年目に開花結実し枯死する。これまでの研究で、キク科シオン属の二年生草本とされているヤマジノギクAster hispidus種群のヤマジノギク、ツツザキヤマジノギク、ヤナギノギクと、近縁種カワラノギクA. kantoensisにおいて、ロゼットをもつ開花個体(以下、開花株ロゼット)の存在を明らかにしてきた。2016~2018年に上記分類群の計9集団において開花株ロゼットの集団内頻度を調査した結果、ロゼットを持つ開花株の割合に0%~25%の間で集団間変異が見出され、草原環境で低く、河原や蛇紋岩地において高い傾向がみられた。また、生活史の中にこの多回繁殖を考慮した推移行列モデルを作成し、解析的にパラメーターの感度分析を行ったところ、開花株が開花株ロゼットを介して翌年も繁殖する確率の変化は、開花株の種子を介してロゼットになる確率の変化よりも集団の増殖率に対して大きな影響を及ぼすことがわかった。 (2)ツツザキヤマジノギク集団および三重ヤマジノギク集団の遺伝的関係を明らかにするためのRAD-seq解析 ヤマジノギク種群および近縁種の計35集団、101個体のSNPデータを取得した。この解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ツツザキヤマジノギク集団および三重ヤマジノギク集団の遺伝的関係の解明をする予定であった。SNPデータを取得することはできたものの、データ解析が遅れているため。また、花形態差に対応する発現差を示す遺伝子座の特定のためのRNA-seq解析を行えなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度は、ツツザキヤマジノギク集団および三重ヤマジノギク集団の遺伝的関係を明らかにするためのデータ解析を引き続き行う。また、花形態差に対応する発現差を示す遺伝子座の特定のためにRNA-seq解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
花形態差に対応する発現差を示す遺伝子座の特定のためにRNA-seq解析を行うことが出来なかったため、その解析費用を繰り越すことになった。
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