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2017 Fiscal Year Research-status Report

外来植物ナガエツルノゲイトウの茎断片化増殖様式の研究と効果的駆除・肥料化法の開発

Research Project

Project/Area Number 15K14672
Research InstitutionToho University

Principal Investigator

高橋 秀典  東邦大学, 理学部, 准教授 (70318210)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2019-03-31
Keywordsナガエツルノゲイトウ / 特定外来生物
Outline of Annual Research Achievements

本研究の実験材料は、特定外来生物に指定されている水生植物のナガエツルノゲイトウである。ナガエツルノゲイトウの茎は中空であるため、回収駆除の過程で容易に断片化して流失する。問題なのは、ナガエツルノゲイトウは茎断片からの個体再生力が非常に高いことである。この強い繁殖力によりナガエツルノゲイトウは河川や水田等で繁茂し、日本のみならず世界で生態系および農水産業に悪影響を与えている。
本研究ではナガエツルノゲイトウを用いて、これまでに主に茎断片からの個体再生における光の役割に関して研究を行ってきた。平成29年度は、茎断片からの個体再生がそもそもどのような仕組みにより引き起こされているのかという疑問を解決するため、植物において形態形成や発生、環境応答、遺伝子発現など様々な現象に関わる重要な因子である植物ホルモンが、茎断片からの個体再生において果たす役割を調べた。
様々な形態のナガエツルノゲイトウの茎断片を用意し、まず、植物ホルモンを添加しない状態で培養し、芽や根の発生の様子を観察した。その結果、ナガエツルノゲイトウの茎断片からの芽の発生には、断片にはなっていない一般の植物個体でみられるような芽の発生と似た仕組みが存在している可能性が高いことがわかった。そこで次に植物ホルモンを添加した状態で、同様に様々な形態のナガエツルノゲイトウの茎断片を培養し、芽や根の発生の様子を観察した。その結果は、ナガエツルノゲイトウの茎断片からの芽の発生には一般的な植物個体と同様の機構が関与している可能性が高いという、前述の考えを支持するものであった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

これまでの研究により、特定外来生物に指定されているナガエツルノゲイトウは茎断片からの個体再生には光が必要であること、そして再生の際には、茎断片からの個体再生であるにもかかわらず、植物個体で見られるのと同様な植物ホルモンによる制御の仕組みが働いている可能性が高いということを明らかにすることができた。近年ナガエツルノゲイトウを駆除するための方法の1つとして注目されている遮光シート法の有効性に関して、学術的な裏付けをすることができたことは、今後も遮光シート法を採用していく上での重要な根拠となる。一方、ナガエツルノゲイトウの駆除を困難なものにしている茎断片からの個体再生において、これまで植物ホルモンの関与の仕組みは未解明であったが、本研究により部分的にでもその仕組みを解明できたことは、将来的に新しい駆除薬剤や駆除方法を開発する際に有用な情報となるであろう。従って、これまでに得られた上述の研究成果は、一定の評価に値すると考えられる。
しかしその一方で、これらの研究成果を確実なものとするために実験をくり返す上で予想以上に時間を要したこと、また、病気や害虫の発生のために実験材料に用いることができるような良い状態のナガエツルノゲイトウ植物体を用意するのに苦労したこともあり、ナガエツルノゲイトウに対する除草剤の効果については着手できていない。従って、これらの状況を総合的に判断して、「やや遅れている」と判断した。

Strategy for Future Research Activity

研究材料に用いているナガエツルノゲイトウの植物体は、環境省から特定外来生物の飼養等の許可を受け、野外に繁殖している植物体を採取してきて、研究機関の室内で栽培して個体を維持している。これまでにも害虫や病気の発生は時々見られたが、平成29年度は特に害虫や病気の発生が多かったため、実験材料に用いることができるような良い状態の植物体を用意するのに苦労した。これまでは、病気や害虫の発生を抑える薬剤が実験に及ぼす影響を恐れ薬剤散布を見送ってきたが、まずは機関内の栽培室で薬剤散布を行い、良い状態の実験材料を得ることが最優先の課題である。薬剤散布でも改善効果が見られなければ、春になり野外でもナガエツルノゲイトウの植物体が繁茂する時期になってきたので、複数回にわたって採取に行くことも考えている。
研究内容の面で言えば、植物体回収法や遮光シート法に代わる、あるいはそれらと併用する新しい駆除法の探索として、除草剤の効果を調べていく予定である。除草剤を使わずにナガエツルノゲイトウを駆除できるのが理想であるが、現状の植物体の回収や遮光シート法による駆除では限界が見られる。そこで、駆除効果が高い薬剤を探し出し、その薬剤を使用して駆除を行うことも現実問題として視野に入れておく必要がある。新しい薬剤の合成・開発は技術的にも時間的にも難しいので、複数の市販品の除草剤を中心にしながら、実際の研究の進展具合を見極めて臨機応変に研究を推進していく予定である。

Causes of Carryover

平成29年度に購入した物品や消耗品は、値引き交渉を行ったり安価な代替品を探し出すことで、当初想定していた価格よりも安価で購入することができたものが多かった。そのために、使用額の合計も想定よりも少額で済んだ。平成30年度の研究で必要となる物品や消耗品の購入には、平成29年度分の残額を充てる予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2017 Other

All Presentation (1 results) Remarks (1 results)

  • [Presentation] 特定外来生物ナガエツルノゲイトウの茎断片からの個体再生と植物ホルモンの関係解析2017

    • Author(s)
      桑原葵、高橋秀典
    • Organizer
      日本植物学会
  • [Remarks] 東邦大学理学部生物学科植物生理学研究室ホームページ

    • URL

      http://www.sci.toho-u.ac.jp/bio/lab/plant_physiology_lab_index.html

URL: 

Published: 2018-12-17  

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