2015 Fiscal Year Research-status Report
遊泳個体数計数アルゴリズムの研究開発:PTV解析技術を応用した新たな試み
Project/Area Number |
15K14785
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木村 暢夫 北海道大学, 水産科学研究科(研究院), 教授 (50186326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 力 北海道大学, 水産科学研究科(研究院), 教授 (80319657)
竹原 幸生 近畿大学, 理工学部, 教授 (50216933)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 個体数 / 計数 / PTV / 養殖 / 魚群 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は魚群を構成する個体数を自動計数するシステム開発のため,その基盤アルゴリズムを新しいコンセプトで構築しようとするのである。流れの可視化技術の一つであるPTV 技術(粒子画像追跡流速測定法)を応用することにより,撮影された魚群の動画から,魚群を構成する個体の遊泳軌跡を同定し,そのベクトル情報から個体数を同定するという方法を適用する。本年度は実験室ベースで遊泳する魚群を構成する個体の画像抽出と,取得された画像上の個体映像から移動ベクトルを推定するアルゴリズムの基盤技術について開発を行った。前者による個体画像抽出は2次元正規分布型をした画像テンプレートを撮影された画像情報上で走査し,個体部分の輝度情報を増幅してその画像を背景画像から際立たせるという処理を行うものである。この画像処理を施した時間的に連続する2画像に対して,カルマンフィルタを用いて遊泳個体の移動軌跡を推定することにより,2画像内に撮影されている各個体の対応関係を同定して最終的な個体の遊泳移動ベクトルを推定した。 円形水槽内に淡水魚を投入し,室内実験レベルで閉鎖空間内の魚群の遊泳個体数を計測したところ,画像内におよそ53-62尾観測できた異なる11ペアの画像情報から平均誤差2.1%の精度で個体数を自動計数することができた。さらに個体数の同定精度を高めるために,魚の画像抽出に最適な画像テンプレートの開発を行うと供に,カルマンフィルタを用いて連続画像内の同一個体の対応付けをより高精度に実現することが必要であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は画像として記録された流体内で移動する粒子物質を高輝度に撮影画像から抽出する方法(PMC 法)を,閉鎖空間内を遊泳する魚群を構成する個体に適用するための基礎的検証実験を行った。背景画像を撮影画像の平均値画像から求め,これを各撮影画像から差し引くことにより求められた画像に対してPMC法を適用したところ,魚群を構成する個体画像が抽出され,個体移動ベクトル抽出を行うための原画像として使用可能であることが確認できた。得られた画像を用いてカルマンフィルタを応用したKC法により時間的に連続する画像内に映し出された個体を対応付けることにより,個体の移動ベクトルを抽出したところ,解析結果から50尾-100尾の魚群のオーダーでは十分に計数できるだけの計測精度が確認できたたため,予定どおりに研究は遂行されていると判断できる。今後はPMC法により個体を抽出する画像処理手法を本研究に適したものに改良していき精度向上を図る必要がある
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に実施された実験内容は,いずれも実験室レベルで行われたものである。空間スケールを実機レベルに拡大して実験を実施する必要があるため,実際の養殖現場で養魚を対象に撮影実験を行う。また,画像処理手法は基礎実験段階でその拡張性が実証できたことから,実際の養殖環境で撮影された魚群撮影画像から基盤アルゴリズムの応用性を検証する必要がある。特に画像処理過程にあたるPMC法を用いた魚群内個体抽出処理が実機レベルで使用できるよう最適化することが主な課題と予想される。
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Causes of Carryover |
本研究では魚群の個体数を計数するシステムを開発することを目的としているため,実際に遊泳する魚群が撮影された画像情報の取得が必要となる。本年度は実験室レベルで画像取得を行うことを中心に行ない,その精度検証を主に実施した。実際の養殖現場で遊泳する養魚魚群の個体数計測の実現に向け取り組んでいるため,実機での計測が求められるが,本年度は室内実験レベルでのシステムの構築を中心に実施したことになり,フィールドワークでの検証を当該年度に実施するまでにはいたらなかった。次年度ではこうした実海域での検証を次年度使用額を用いて実現させる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
魚群の個体数を計数するための基盤アルゴリズムは本年の室内実験レベルの解析で一定の目処を付けることができた。本年度で得られた基盤解析システムを用いて養殖現場での養魚魚群の個体数計数の解析実験を次年度で実現させるため,発生した次年度使用額は次年度予算と合わせて積極的な調査実験を実施するために効果的に使用する計画でのぞむ。
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Research Products
(2 results)