2016 Fiscal Year Annual Research Report
Effects of high-energy particles on neural activity
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15K15044
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
岡野 ジェイムス洋尚 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (90338020)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 宇宙放射線 / 神経細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
宇宙放射線は宇宙空間を飛び交う高エネルギーの放射線で、高線エネルギー付与 (linear energy transfer; LET)荷電粒子線をはじめとした多種な線質の放射線であるが、主な成分は陽子である。これまで宇宙に滞在した宇宙飛行士の約80%が、宇宙放射線が宇宙船を通過する際に閃光を見る「アイフラッシュ」と呼ばれる現象を経験したことが報告されている。長期の宇宙飛行においては、宇宙放射線が宇宙飛行士の脳活動に重大な影響を与える可能性が懸念されている。我々は細胞1個もしくは少数の細胞からなる神経回路を狙い撃ちして照射し観察できる放射線医学総合研究所のマイクロビーム細胞照射装置 (SPICE)を活用し、陽子線によって引き起こされる神経活動を経時的に観察した。マイクロビーム照射に用いることのできる薄膜の中から神経細胞培養に最適な膜の検討を行い安定的に培養可能な条件を検討した。またコーティングの種類、神経分化を促進する新しい培養液、神経栄養因子の添加などを検討し、比較的速くニューロンが成熟する条件を決定した。細胞内カルシウムを可視化する蛍光色素を細胞内に導入し、顕微鏡による経時的蛍光イメージングを行い、マイクロビーム照射時と非照射時のニューロンの活動を比較検討した。細胞はマウス大脳皮質由来一次培養ニューロンを使用した。その結果、照射したニューロンは照射直後に活性化し、逆に照射細胞周辺のニューロンでは活動の低下が再現性良く観察された。これらの観察から陽子線が神経活動・脳活動に影響を及ぼす可能性が強く示唆された。陽子線が神経活動に直接急性の影響を及ぼすことを示した世界ではじめての成果であり、また地上実験により宇宙放射線の脳への影響をシミュレーションできる実験系を確立したことが確認された。
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Research Products
(1 results)