2016 Fiscal Year Annual Research Report
Study on Toxoplasma-derived brain manipulator which controls central nervous system of hosts
Project/Area Number |
15K15118
|
Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
西川 義文 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 准教授 (90431395)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 感染症 / 中枢神経系 / 免疫 / トキソプラズマ / トランスクリプトーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「宿主中枢神経系を支配するトキソプラズマ由来ブレインマニピュレーター」の同定により、トキソプラズマによる脳神経細胞の機能が改変されるメカニズムの解明を目的としている。平成28年度は主に下記2項目について研究を実施した。 【脳神経細胞の機能遺伝子の発現を制御する原虫因子の同定】前年度の研究により脳神経細胞の機能に重要なNF-kBシグナルを活性化する原虫因子2種を同定しており、今年度はこれら原虫因子を欠損させた組換え原虫株を作出した(欠損株A、欠損株B)。両欠損株の性状解析を実施したところ、親株と比較して原虫の感染率、増殖率、宿主細胞からの脱出率に差は認められなかった。欠損株Aは、NF-kBシグナルの活性化能の低下、感染マクロファージの炎症性反応の低下、マウスに対する病原性の低下が認められた。欠損株Bは、感染単球の炎症性反応の低下、マウスに対する病原性の増加が認められた。欠損株Aの結果より、当該遺伝子はNF-kBシグナルの活性化に関与することが明らかとなり、脳神経細胞の機能改変に関与することが示唆された。 【トキソプラズマ感染による宿主の行動変化の解析】トキソプラズマ感染急性期にはマウスにうつ様症状が発現することを明らかにした。この病態には、インターフェロンガンマによる炎症反応、インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼによるキヌレニンの産生が関与しており、それぞれの阻害剤投与によるうつ様症状の改善が確認された。また、慢性感染期にはマウスの恐怖記憶が障害されることが明らかとなった。これらマウスでは恐怖記憶の形成に重要な脳領域の大脳皮質と扁桃体に障害があり、記憶に不可欠な神経伝達物質の産生異常が認められた。今後は、これら感染マウスモデルを用いて、欠損株Aの表現系を解析する必要がある。
|
Research Products
(17 results)