2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15K15361
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小川 誠司 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60292900)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 血液内科学 / 血液免疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
後天性再生不良性貧血(AA)は、自己反応性の細胞障害性T細胞(CTL)による造血幹細胞(HSC)の障害に起因する、骨髄不全である。本症では経過中にしばしばクローン性造血、骨髄系腫瘍が認められるが、CTLによるHSC障害との関連については不明である。本研究では、再生不良性貧血における骨髄系腫瘍の発症機序として、①CTLの認識するエピトープに遺伝子変異が起こり、その結果免疫学的認識からエスケープすることにより、クローン性造血が生じる。②同エピトープがしばしば骨髄系腫瘍の発症に関わる分子上にあるために、エスケープを誘導した変異が骨髄系腫瘍の発症を誘導する、とする仮説を想定し、同仮説を検証した。 まず、AA患者52例について診断後(主として6ヶ月)に採取された末梢血顆粒球よりゲノムDNAを抽出し、全エクソン解析により非同義アミノ酸置換を伴う全体細胞変異の同定を行った。その結果、アミノ酸変化を伴う体細胞変異が一症例あたり1.21個同定された。次に、これらを認識するCTLクローンを、HLAテトラマーを用いて同定する目的で、頻度の高い変異遺伝子(DNMT3A, ASXL1, BCOR)について、Class I HLA分子上に提示される可能性のあるミスセンス変異(エピトープ)をコンピュータにより推定した。しかし、これら3遺伝子の探索からは、HLA上に提示される変異が有意に集積する所見を認めなかった。そこで、対象を骨髄系腫瘍の原因とされる106遺伝子に増やし、同様の解析を行った。変異数は十分であったが、高頻度に変異を来す遺伝子のうち、HLA上に有意に提示されるものは同定されなかった。骨髄性腫瘍に特徴的な変異を有する細胞がクローン選択されるメカニズムについては、これらの変異による細胞固有の効果に起因する可能性も排除できず、本研究の仮説については、再検討の余地があると考えられた。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Somatic Mutations and Clonal Hematopoiesis in Aplastic Anemia.2015
Author(s)
Yoshizato T, Dumitriu B, Hosokawa K, Makishima H, Yoshida K, Townsley D, Sato-Otsubo A, Sato Y, Liu D, Suzuki H, Wu CO, Shiraishi Y, Clemente MJ, Kataoka K, Shiozawa Y, Okuno Y, Chiba K, Tanaka H, Nagata Y, Katagiri T, Kon A, Sanada M, Scheinberg P, Miyano S, Maciejewski JP, Nakao S, Young NS, Ogawa S.
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Journal Title
N Engl J Med.
Volume: 373(1)
Pages: 35-47
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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