2015 Fiscal Year Research-status Report
ステムセルエイジングの制御に向けたアミノ酸による間葉系幹細胞未分化性維持
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15K15708
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
窪木 拓男 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (00225195)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 充昭 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60613156)
前川 賢治 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (20304313)
秋山 謙太郎 岡山大学, 大学病院, 講師 (70423291)
大島 正充 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (00548307)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アンチエイジング / 幹細胞 / 骨粗鬆症 / 創傷治癒 |
Outline of Annual Research Achievements |
人工多能性幹細胞(iPS細胞)の開発がライフサイエンスに与えたインパクトは計り知れないが,がん化せず,臨床応用しやすい未分化間葉系幹細胞の分化やその未分化性を維持するメカニズムの探索が全世界で行われている.我々は,必須アミノ酸の一つであるトリプトファン(Trp),その代謝産物であるキヌレニンが骨髄内の間葉系幹細胞の幹細胞性維持に関与していることを世界で初めて明らかにした. 実際には,初めに,22種類のアミノ酸を用い,ヒト骨髄由来間葉系幹細胞(以下:hBMSC)の幹細胞性を促進するアミノ酸を間葉系幹細胞のマーカーであるSSEA-4の陽性細胞率を指標にスクリーニングを行った.その結果,TrpがhBMSCの幹細胞性維持に関わっているアミノ酸として同定された.さらに,Trp処理により有意に細胞遊走能が促進され,また,Trp処理したhBMSCsは脂肪細胞への分化は抑制され,骨芽細胞への分化は有意に促進された. 次に,in vivoにおける効果を検討するため,マウスにTrpを3週間毎日腹腔内投与し検討した.その結果,Trp投与群では対照群と比較して,海綿骨骨塩量,海綿骨体積率は有意に増大していた. 最後に, Trpを7日間毎日腹腔内投与したマウス大腿骨骨体部に直径1 mmの骨欠損を作製し,Trp投与が骨の創傷治癒に与える影響を検討した.その結果,Trp投与群には骨欠損作製部位に著明なX線不透過像が観察され,組織学的解析の結果,皮質骨がより旺盛に再生されている像が観察された. 以上の結果より,Trpが骨髄由来間葉系幹細胞の幹細胞性維持に関わり,Trp投与により大腿骨の海綿骨量の増加,ならびに実験的大腿骨欠損モデルにおいて骨再生が促進されることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
必須アミノ酸の一つであるトリプトファン,その代謝産物であるキヌレニンの間葉系幹細胞に与える影響をin vitro, in vivoの観点から明らかにしており,予定通り研究が進んでいると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,通常モデルマウスでのアミノ酸の効果を検討してきた.来年度は,骨粗鬆症モデルマウス,老化マウスにおける同定したアミノ酸の効果を検討する予定である. 実際には,経口投与,腹腔内投与の両方の投与方法にて効果があるか,micro-CTを用いたX線学的解析,および,細胞生物学的,分子生物学的解析にて検討する. また,in vitroにおいて,トリプトファンならびにキヌレニンが間葉系幹細胞の幹細胞性維持にどのように関わっているか,アミノ酸トランスポーターの阻害剤等を用いて明らかにしていく予定である.
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Causes of Carryover |
現在,本申請研究の一部を論文投稿中であり,論文投稿費の経費の確保が必要不可欠であり,次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
論文投稿費の請求がJournalからあり次第,速やかに本経費を支出する予定である.
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Research Products
(3 results)