2015 Fiscal Year Research-status Report
テキストマイニングと代数統計に基づく看護技術暗黙知の数学モデル化
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15K15818
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Research Institution | Shizuoka Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
松田 健 静岡理工科大学, 総合情報学部, 講師 (40591178)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真嶋 由貴恵 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70285360)
前田 利之 阪南大学, 経営情報学部, 教授 (70320041)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 暗黙知 / 注射技術 / 手指運動 / 非定常 / 可視化 / 数理モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,注射技術の暗黙知を数学モデル化することであり,そのための手指運動データを取得し,数理モデルや代数統計などの計算技法に基づいて分析を進めている.初年度の主な計画は,データ取得の実験を行うことであり,2015年9月と2016年2月に,それぞれの実験を大阪府立大学,及び関西福祉大学で行った. 実験には,実務経験が3年以上の看護師または大学教員である熟練者6名と,注射技術について習得済みの看護学生である初学者6名の協力を得て,注射技術実施時の手指運動データを取得した.データ取得には,実験協力者に対する実験の説明,趣旨運動データ取得のためのセンサー装着,1名10回ずつの手技実験,実験後のインタビューを含めて1時間ほど時間がかかるため,本研究の実験では,取得できるデータのサンプル数は多くない.そのために,少数の限られたデータから熟練者のもつ特徴を見出すための計算技術が必要となる.初年度の実験では,熟練者のサンプルを60個,初学者のサンプルを60個収集することができた.これらのデータと合わせることで,熟練者と初学者のデータの差異を分析した.注射技術の手技にかかる時間は人によって異なるため,取得したデータのままでは統一的な分析を行うことはできない.また,手指運動データは非定常な時系列データであることも確認することができた.さらに,統計処理のソフトであるRを用いて,注射技術実施時の手指運動データを3次元グラフ化して可視化した他,手指運動データを分析するためのアルゴリズムを提案し,可視化したデータとアルゴリズムの計算結果の対応する部分を見出して,代数統計の技法を用いて熟練者と初学者のデータの差異を測るための準備を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りにデータ取得実験が終了し,熟練者と初学者のデータを差異をある程度測るところまで進めている.本研究を遂行するにあたり,計画の段階では気づかなかった新たな知見が得られたため,その点においては,当初の計画よりも進んでいるとも言えるが,反対にそれらのことを確認するための追加実験を行うべきであると考えたため,おおむね順調に進展しているとした.また,追加で実験を行わなければならない理由として,初年度に取得したデータには,センサーの異常による外れ値が含まれていることが確認されたため,このような外れ値が発生する原因を際実験で特定するという作業が発生している.このような事象は,実際に実験するまでわからないことであるため,この件については当初の計画には含まれていないが,取得されたデータの外れ値を適切に除去できるため,研究は,おおむね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
取得したデータの数学的解析は順調に進めている.今後は,実験時に収集したアンケートデータを用いて,それらのデータと手指運動データの特徴を照らし合わせて,熟練者と初学者のデータの差異がどのような原因から導かれるかということを,代数統計的手法を用いて分析する.また,データ取得の再実験では,外れ値が観測され得る実験環境を考慮して,実験を行う際にどきをつけるべきことについて特定する.研究成果は,国際学会や論文誌に積極的に投稿し,ウェブページにて,可視化したデータを公開していく予定である.
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Causes of Carryover |
当初の計画では,データ解析用のワークステーションを研究の初期段階で購入する予定であった.しかし,解析対象となるデータ取得には看護技術を熟知している熟練者のデータが必要であり,かつ,実験に協力して頂く方々になるべくストレスを与えることなくデータを取得するための技術的な準備に大きな時間的コストを費やしたため,ワークステーションの購入を遅らせることにした.そのために次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
初年度でデータ解析の実験が概ね終了したが,現段階ではデータ解析に必要なコンピュータはワークステーションではなく,数台のPCで代用できることを確認した.初年度のデータ取得実験によって,新たな知見が発見されたため,それを確認するための追加実験を行い,その結果によってワークステーションを購入するかどうか検討する.また,これまでの実験とデータ解析で得られた知見を論文にまとめていく.
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Remarks |
webページは準備中で順次公開予定
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Research Products
(4 results)