2015 Fiscal Year Research-status Report
リアルタイム感情分析による認知症高齢者のための快刺激コミュニケーション技術の開発
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15K15878
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
塚本 美奈 北海道大学, 大学院保健科学研究院, 助教 (30608500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮島 直子 北海道大学, 大学院保健科学研究院, 准教授 (60229854)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 認知症高齢者 / コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、認知症高齢者の日常生活場面のコミュニケーションにおいて快刺激となり快感情をもたらすコミュニケーション技術を開発することである。この目的を達成するために、今年度はまず、認知症高齢者にとって快刺激となりうる日常生活場面についてフィールドワークと文献から検討した。1.フィールドワーク:複数の医療施設や福祉施設のスタッフが集まって行われる認知症事例検討会に参加し、それぞれの事例から認知症高齢者と支援者のコミュニケーション場面を検討した。コミュニケーションの場面は、食事、排泄、移動などの支援時、さらに、デイケアやリハビリテーションにおける作業や運動プログラムの場面など多岐にわたっていた。具体的には、挨拶の場面やBPSD(認知症の周辺症状)の不安や焦燥感が顕著でかかわりが困難な状況から落ち着くまでの状況に至るコミュニケーション場面などがあった。このように、コミュニケーションの場面は瞬間的なものから、連続している場合もあり、いずれもコミュニケーションはその前後の状況も含めそれぞれの文脈の中にあった。そのため、本研究における日常生活場面を場面としてどのように切り取るかが、問題となることが分かった。2.文献検討:国内の文献では、フットケアの場面で、タッチング、言語的コミュニケーション、1対1で向き合う看護師との関係、音楽などが快刺激となっていることが報告されていた。国外の文献検討は、JBI(Joanna Briggs Institute)のデータベースを利用した。その結果、その人らしさを中心にケアを行っていこうとするperson-centered careの理念が本研究にも重要であり、個々に合わせたケアを行っていく場面において、快刺激となり快感情をもたらすコミュニケーションがあると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究協力施設を確保するためのフィールドワークに時間を要した。また、平成26年12月に文部科学省・厚生労働省より「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」が制定され、研究者の所属施設内で倫理的手続きに関する様々な変更がなされたこともあり、本研究における倫理審査の申請時期が遅れている。倫理審査の承認を得た後、質問紙調査、インタビュー調査に取り掛かかる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度のフィールドワークと文献検討の成果をもとに、質問紙調査票とインタビューガイドを作成する。実際に認知症高齢者にかかわっているスタッフを対象者に質問紙調査とインタビュー調査を実施し、どのような日常生活場面に快刺激となるコミュニケーションがあり、その場面のコミュニケーションの特徴は何かを明らかにする。本研究の1年目の達成度としては、やや遅れているが、研究計画の通りに進めていく。
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Causes of Carryover |
研究対象施設の決定と倫理審査からの研究スケジュールの遅延により、研究費を繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後の研究活動に繰り越し分を当て研究を推進していく。予算の使途については、当初の計画通りであり、前年度からの繰越金は、データ収集と分析に充てる。
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