2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K15965
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森畑 明昌 東京大学, 大学院総合文化研究科, 講師 (10582257)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 並列計算 / 型システム / ラムダ計算 / リダクション並列化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度は、前年度末に得られた「ラムダ計算とその中で用いられる演算子の代数的性質を用いて並列計算可能性を定式化する」という着想を精緻化することに取り組んだ。本研究で与えるラムダ計算体系は以下の性質を満たすことが望ましい。まず、並列計算のモデルとして扱うにあたり、現実のプログラムとの対応を明確であり、可能なら実際のプログラムへ翻訳できることが望まれる。次に、並列計算のモデル化を補助するような機構を持つことが望ましい。最後に、表現力が高く、既存の並列計算パターンの多くを比較的自然に表せることが望まれる。このうち1番目の問題意識の観点からは、この新しいラムダ計算体系の意味を、既存のラムダ計算体系への翻訳によって示すというのは理想的なアプローチである。このアプローチに基づく定式化の初期の成果は、情報処理学会第111回プログラミング研究会で発表した。この翻訳は、並列計算が多大なオーバーヘッドをもたないという性質も型システムの翻訳を通じて示しており、2番目の問題意識への解答にもなっている。残念ながら、後ほどこの翻訳は正しくないことが確認された。以降はその修正、および3番目の問題意識の解決に向け、研究を進めた。その結果については、具体的な成果の形にはなっていないが、現在論文を投稿中である。また、この成果の初期の結果に関しては、国際ワークショップFHPCの招待講演としても発表を行った。 またこれと並行して、非自明な並列計算に対する代数的アプローチの有用性について検討を行った。とくに、代数的アプローチによる定式化があまり存在しない並列グラフ処理に関しての検討の結果を日本ソフトウェア科学会第33回大会で発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究での枢要な課題である、ラムダ計算と型システムを用いた並列計算の定式化に関しては、その基本的な着想が複数回の対外発表を通して固まりつつある。論文も投稿に至っており順調な進捗であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点で一定の成果が得られているので、まずはこれを出版することが重要であると考えている。また、現時点では並列計算のモデルを与えているに過ぎないので、今後はこれを実用的な並列計算・プログラム並列化へ応用する可能性について検討を行うつもりである。
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Causes of Carryover |
参加した国際会議が今年度は日本国内での開催だったため、旅費が想定よりも少なかったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
成果が出つつあるため、国際会議への積極的な論文投稿を行い、その参加費・旅費とするつもりである。
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Research Products
(3 results)