2016 Fiscal Year Research-status Report
分散環境におけるモバイルエージェントの動的デバッグ手法に関する研究
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15K15982
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
東野 正幸 鳥取大学, 総合メディア基盤センター, 助教 (70736090)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | モバイルエージェント / 分散システム / デバッガ |
Outline of Annual Research Achievements |
モバイルエージェントとはネットワークに接続された計算機間を移動できる自律的なソフトウェア部品である.複雑な分散システムをモバイルエージェント同士の協調により実現することで人間が理解しやすい人間社会のようなモデルで設計可能となることから,モバイルエージェントは分散システムの構築技術として有用性が示されてきた.しかし,モバイルエージェントは,分散システムの設計が容易になる一方で,遠隔地の計算機へ移動して自律的に動作することから,何処で何をしているのかといった実際の動作の把握が難しく,システムのデバッグが難しいことが問題となっている.本研究の目的は,モバイルエージェントのデバッグの困難性を分析し,その困難性を軽減するための動的なデバッグ手法を確立することである.モバイルエージェントのデバッグの困難性が軽減されることで,より高度な分散システムの開発が可能になることが期待できる.
本年度は,主に前年度に実施した「モバイルエージェントの検索パラメータの検討(課題1)」と「モバイルエージェントの検索アルゴリズムの検討(課題2)」を評価するためのシステム環境の設計と実装を進めた.特に,将来の実社会で普及しているシステム構成における評価を行うため,クラウドサービスの普及により有用性が評価されつつあるマイクロサービスアーキテクチャがモバイルエージェント技術と親和性が高いことを示し,評価に必要なモバイルエーエジェントシステムの環境の設計と実装を進めた.また,開発しているモバイルエージェントのプラットフォームにウェブアプリケーションや常駐型のサービスを配備可能とし,モバイルエージェントと実際のアプリケーションを協調動作するための機構の実装を進めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は,まず「モバイルエージェントの検索パラメータの検討(課題1)」と「モバイルエージェントの検索アルゴリズムの検討(課題2)」における設計と実装と評価を実施することを計画していたが,モバイルエージェントシステムの開発において当初の計画よりも実装が難しいことが判明した.研究が当初計画どおりに進まない時の対策として,システム開発補助の人件費を計上していたが,主にプログラムの仕様部分の検討が必要であり,仕様決定前に実装を依頼することは困難であると判断し,当初想定していたよりも研究代表者が多くのシステムの開発を実施する必要が生じ,その開発時間を捻出するため,当初計画と現状に差異が生じる結果となった.しかしながら,初期の開発で必要な基礎部分は,後の課題3,課題4,課題5にも関連する部分であるため,研究計画における中盤以降の課題に関する実装期間は短くなると予想される.このため,進捗状況の区分は「(3) やや遅れている。」であると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
前述した「モバイルエージェントの検索パラメータの検討(課題1)」と「モバイルエージェントの検索アルゴリズムの検討(課題2)」を完了し,MASIFやFIPAといったエージェントに関する標準仕様の拡張として提案方式の仕様化を検討したのち,引き続き当初研究計画の「モバイルエージェントの動作履歴の記録形式と追跡方式(課題3)」,「動的なステップ実行方法(課題4)」,「動的な修正方法(課題5)」について研究を進める.
また,ここ数年でビッグデータや人工知能などの流行により時系列データベースやグラフデータベースなどの動的かつ複雑なデータを扱うシステムためのオープンソースソフトウェアの実装や概念的な整理が急速に進みつつある.これらのソフトウェアのうち本研究で採用できる部分を活用することで開発時間の短縮を検討する.この対策により当初計画と現状の進捗状況の差異の収束する.
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Causes of Carryover |
当初の研究計画では,必要に応じてシステム開発及びシステム評価用の計算機の購入を予定していたが,本年度はシステム開発における設計が主な実施内容となったため,計算機の性能的に必要十分な既存の計算機の活用により購入を行わなかった.国際会議の参加と学術論文の投稿に必要な経費については,システム開発の遅れに伴い研究成果が得られる時期が合わなかったため,参加費,旅費,論文掲載量などに差額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額については,本年度で実施したシステム開発における設計に引き続き,実装及び評価が主な実施内容となるため,実際の分散システムの環境に近い性能の計算機が必要となることから,必要に応じて計算機の購入費として一部を使用する.また,実装と評価が済み次第,研究成果を公表するために,国際会議への参加と学術論文の投稿に必要な経費として使用する.
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Research Products
(1 results)