2015 Fiscal Year Research-status Report
MEGを用いた視覚的注意に関する脳内時系列信号の解読
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15K16011
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
森重 健一 富山県立大学, 工学部, 講師 (30433197)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | fMRI / 眼球運動 / 視覚的注意 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、目を動かして注意を向けているときと、目を動かさずに注意を向けているときの実験課題を行っているときのfMRIデータの解析を行った。ひとつは(1)共通する皮質領域を明らかにすることであり、もうひとつは(2)異なる皮質領域を明らかにすることについてである。
(1)8人の被験者から得られた「目を動かして注意を向けているとき」と「目を動かさずに注意を向けているとき」のfMRIデータの集団解析を行った。その結果、前頭眼野(FEF)、補足眼野(SEF)、頭頂眼野(PEF)、MT/V5野といった共通の皮質領域が活動していた。
(2)fMRIを用いた結果から共通領域での活動しているボクセル数で比較したところ、目を動かして注意を向けているときよりも目を動かさずに注意を向けているときの方が多かった。つまり、目を動かさない方が、広い皮質領域が賦活していた。t検定を用いて統計検定を行った結果、頭頂眼野とMT/V5野に有意差があった(p<0.05,FWE)。さらに詳しく調べるために、Multi Voxel Pattern Classification toolboxを用いて、実験課題を遂行しているときの単一試行fMRIデータをパターン認識の手法を用いることで、ふたつの条件下で得られたfMRIデータの判別を行った。スパース化されることによって絞り込まれた特徴量は、頭頂眼野やMT/V5野といった皮質領域の一部に見られ、それらが寄与していることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の目標としていた「目を動かして注意を向けているとき」と「目を動かさずに注意を向けているとき」の共通する皮質領域と異なる皮質領域をある程度明らかにすることができたため。また、今後の検討に必要な実験データもひと通り揃い、平成28年度の研究を遂行するための準備が整ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、fMRI データを事前知識として用い、研究代表者らが提案する方法でMEG 逆問題を解くことで、脳電流を抽出する。さらに、抽出した様々な脳領域での脳電流の中から、注意を向けることを実現するために真に重要な脳電流だけに絞り込み、注意を向けている方向の時系列信号を再構成する。
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Causes of Carryover |
当初想定していたよりもfMRI装置利用料が節約できたため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度では大量の数値計算を行う必要があり、その計算スピードが研究目的の達成に大きく 影響を及ぼすことになる。そのため、次年度使用額をデータ解析用計算サーバの購入に充てる予定である。
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