2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K16185
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Research Institution | College of Industrial Technology |
Principal Investigator |
松原 孝典 産業技術短期大学, その他部局等, 助教 (40735536)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 天然由来材料 / 酸化反応 / 染毛 / ヘアカラーリング / 光劣化抑制 / カテコール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ヒトや地球環境への負荷が小さい天然由来材料を原料に用いて、その化学反応を毛髪の染色(染毛)に応用することを試みた。平成27年度は、(+)-カテキンなどの天然由来のカテコール化合物(バイオカテコール)を原料として使用して、その酵素酸化や化学酸化などの酸化反応を活用した染毛法について調査した。 (+)-カテキンについて、以下の4手法(①~④)で2種の酸化方法([1]・[2])を利用して白髪人毛の染毛試験を行った。①再溶解染色法(従来法):事前に酸化反応により染料を合成し、粉末化した後、それを再溶解させて染色する方法;②逐次染色法:酸化反応によって染料を合成した直後に、その染料溶液を用いて染色する方法;③同時酸化法:染料合成中の酸化反応溶液に毛髪を投入し、染料合成と染色を同時に行う方法;④後酸化法:毛髪に対して事前に染料前駆物質を吸着させ、その後に酸化反応溶液に投入し、酸化させて染色する方法。酸化方法は、[1]酵素酸化法:pH = 7で酵素と酸素を供給する方法;[2]化学酸化法:塩基性条件(pH = 10-12)で酸素を供給する方法、の2種類について試みた。染毛試験の結果、染色性は、[1]酵素酸化では①<②<④~③、[2]化学酸化では③<①<④の順で高く、酸化反応を染毛に活用する③や④の染色性が高いことが分かった。さらに、他のバイオカテコールについて同様に染毛試験を行い、(-)-エピカテキン・DOPA・ヘマトキシリン・ブラジリン・茶抽出物などが原料に利用可能であり、原料によって染色毛髪の色調が異なる。それらの染料生成挙動を調べると、比較的[1]や[2]の酸化反応が起こりやすく、得られた色素の溶液における可視領域の吸光係数が比較的高いという結果が得られた。③や④の染色法では、原料にカテコール構造とクロマン構造の2つの化学構造を持つことが必要であると示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的では、(+)-カテキンなどの原料種を事前に化学修飾して正電荷を付与し、毛髪を処理することを考えていた。毛髪は全体として負に帯電しているので、(+)-カテキンへの正電荷付与は染色性を高めると考えていた。しかしながら、それを行わなくても、酸化反応を染毛に応用することで、従来よりも染色性を高めることができた。そこで、その手法について原料種の種類や染色条件をさまざま変えたり、染料生成挙動について調べ、染色性向上や染色機構について探求した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度には、染色性について調べるだけであり、その洗髪や光に対する色落ち(堅ろう度)の調査がまだである。また、当初予定していた正電荷を付与した原料種の利用を実施したい。一方、染毛による毛髪の光劣化抑制についても調査する。
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Causes of Carryover |
翌年度に、交付決定額の残額を全て使用して、山電社クリープメータRE-3305S一式を購入したい。そのため、予定の備品購入以外に支出を出さなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
交付決定額の残額を全て使用して、山電社クリープメータRE-3305S一式を購入する。
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Research Products
(10 results)