2015 Fiscal Year Research-status Report
東南アジア・東アジアの気候と熱帯大気-海洋相互作用の100年スケールの連関解明
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15K16283
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
赤坂 郁美 専修大学, 文学部, 准教授 (40574140)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 降水量 / 季節変化パターン / 長期変化傾向 / フィリピン / 大気-海洋相互作用 / モンスーン / ENSO |
Outline of Annual Research Achievements |
フィリピンにおける主要な降水の季節変化パターンを明らかにし、その長期変化傾向を解明するために、H27年度はまず、1951~2013年の30地点における半旬降水量データにEOF解析を行った。結果として、南西モンスーンによる雨季に関連するパターンと、北東モンスーンによる東岸の降水ピークに対応するパターンが主要なモードとして抽出された。これらの主要モードの時系列スコアにクラスター分析を行い、季節変化パターンの分類を試みた結果、どちらも6パターンに分類することができた。とくに南西モンスーンにより特徴づけられる夏の雨季のパターンには、パターン間の特徴の違いが明瞭にみられ、雨季入りもしくは雨季明けが早いパターン、明瞭な乾季がないパターン、乾季が明瞭なパターン、雨季入り・明け共に遅いパターンと平年並みのパターンに分類することができた。また1980年代後半以降は平年とは大きくパターンが頻繁に出現しており、それらの年には、エルニーニョ現象もしくはラニーニャ現象が発生していることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに最新の2013年までのフィリピンの降水量データを用いて20世紀後半以降のフィリピンにおける降水量の季節進行の長期変化傾向と大気の下層循環場との関係に関する解析を行った。またより長期の熱帯循環場に関する解析を翌年度(2016年度)に行うために、19世紀後半のフィリピンにおける風と雲量のデータの電子化業務を委託し、19世紀後半のフィリピンの気象観測データセットを完成させ、データ整備を順調に進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
H27年度の解析により明らかになった降水季節変化パターンの出現頻度を、20世紀前半以前のデータにも当てはめることで、19世紀後半~現在にかけての降水季節変化パターンの長期変化傾向を明らかにする。また、これらと熱帯域における大気-海洋相互作用の変動特性(ENSOの数十年規模変動)との連関解明のために、20世紀後半以降の降水季節変化パターンと熱帯域の下層循環場との関係について、解析を進める。そのさいにH27年度に電子化した19世紀後半の気象観測データセットを活用する。
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Causes of Carryover |
研究補助者の人数が予定より1名少なく、人件費として使用する額が少なくなった。またフィリピン気象庁からの気象観測データの購入を次年度に行うことにしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
20世紀前半以前の気象観測データ整備(入力、編集、データチェック)等を行うための人件費及びフィリピン気象観測データの購入費として主に使用予定である。
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