2015 Fiscal Year Research-status Report
容量結合式浴槽内組込電極による完全無意識型心電・呼吸計測システムの先駆的開発研究
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15K16317
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山越 康弘 北海道大学, 情報科学研究科, 学術研究員 (70743300)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生体情報工学 / 容量結合 / 浴槽 / 心電・呼吸 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は,当初研究計画書で記載した次の項目について研究開発を実施し,以下の成果を得た。 (1)家庭内設備の材料を介した生体電気信号検出技術の基礎的開発 浴槽壁や家庭内の設備で現在頻繁に用いられている材料(Fiber Reinforced Plastics; FRP材,など)を利用して,容量結合によって生体の電気信号を得る信号処理回路とセンサ構造の試作開発を行った。また,浴槽での計測に向けて,身体のどの部位(手,背中,臀部,下肢などの部位から様々な位置での検出を検討)から信号検出すべきかを,信号レベルやノイズの大きさ等から決定し,浴槽への電極設置位置の決定に向けた実験的検討を行った。その結果,実験により得られたデータは,学会発表用資料としてまとめられ,第54回日本生体医工学会大会(名古屋)およびThe 37th Annual International Conference of the IEEE Engineering in Medicine and Biology Society (イタリア)に公表した。学会発表により,医学・工学的分野の研究者からコメントを得られ,今後の検討課題を明確にすることが出来た。 (2)実用プロトタイプ試作開発と性能評価 研究協力機関である総合せき損センター(飯塚市)に訪問し、実用プロトタイプ試作開発について医師・看護師を交え意見交換を行い,今後予定している実施計画に向けて具体的な進め方を決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標であった,容量結合手法によって生体の電気信号を得る信号処理回路とセンサ構造の試作開発が順調に進み,国内外の学会で発表できるレベルのデータを取得できたことは大きな成果だと言える。 以上より,本研究はほぼ当初計画通りに順調に進展しており,相応の研究成果も達成していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は,基本的には当初研究計画通り,1)入浴者の心電図・呼吸情報検出方法の検討,2)実用プロトタイプ試作開発と性能評価,3)総括,について研究開発を行う。 特に(2)では,研究協力機関の総合せき損センター(飯塚市)とH27年度に行われた会合で,信号検出精度よりも簡便にモニターできるシステムを医師・看護師らは強く望まれていることから,今年度は新たにスマートフォン等を用いたシステム構築の導入を検討していきたい。具体的には,ARMプロセッサが搭載された小型シングルボードコンピュータ(Raspberry Pi)を導入し,様々な機器にも接続できるシステムを設計していく予定である。 また,研究協力者との協力を得て医学的有用性を評価し,これらの成果を日本生体医工学会誌等への論文掲載を目指す。
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Causes of Carryover |
予定していた研究計画よりも順調に開発を進められたため、消耗品等に余計な出費がなくなり使用額に差異が応じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予期せぬ物品購入の予備費として計上。また、積極的な国内・国際学会への参加や論文投稿費として計上する予定である。
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