2016 Fiscal Year Research-status Report
高齢者・身体障害者のバリアフリー状況理解・共有を支援するアクセシブル情報提示基盤
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15K16394
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三浦 貴大 東京大学, 高齢社会総合研究機構, 特任助教 (80637075)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 視覚障害者 / 肢体不自由者 / 高齢者 / タッチスクリーン端末 / アクセシビリティ / ユーザビリティ / バリアフリー状況のアセスメント / ワークショップ支援ツール |
Outline of Annual Research Achievements |
a)アクセシビリティを考慮したバリアフリー情報を適切に提示可能なインタフェースの開発・評価(H27から28年度):本年は,視覚障害者自身が情報入力しやすいインタフェースの開発・評価を主に実施した.全盲者・弱視者に対して,スマートフォン上において様々な数量・サイズのキー配列を提示し,彼らにこの配列を覚えさせ,その際のエラー率・反応時間を計測した.この際,彼らにはスクリーンリーダを使用させている.この結果,スクリーンリーダ使用下において,10 pt以上のボタンサイズであれば,エラー率はほとんど変わらないことを示した.一方で画面サイズに対して,ボタンサイズが画面領域の25%の部分にまとまって表示される場合は,入力速度が遅くなることも示した. また,昨年度に引き続きIT講習会を高齢者に行った際に,ジェスチャ調査を行い,ガイドライン作成のための基礎データを揃えた.現状では,このデータの分析を概ね済ませ,既存研究との比較を通じて,論文としてまとめている所である.
b)バリアフリー状況を現地以外でも追体験できる,没入型の現地状況提示システムの構築(H27後半から29年度前半):本検討で構築するインタフェースの試作を引き続き実施した.さらに,追体験以前の情報確認方法として,スマートフォンによるバリアフリー情報入力・共有システムと,ワークショップ用地図データ整理ツールを開発した.本システムでは,地点ごとのバリアフリー情報のみならず,子供にとっての安全情報,音環境などの取得も可能なよう,拡張性を持たせて設計した.実際に,これらの情報入力・共有を高齢者・小学生・障害当事者で実施し,情報共有に有用であることを示した.今後は,没入型提示システムとの比較を体系的に行っていく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年同様,遅れている項目と当初の予定以上に進展している項目が混在している状況である.具体的な状況を,項目ごとに以下に示す.
a)アクセシビリティを考慮したバリアフリー情報を適切に提示可能なインタフェースの開発・評価(H27から28年度):当初行う予定だったタッチスクリーン端末におけるUI設計ガイドラインの構築が若干遅れている.個々の要素についての実験は終了しているため,あとは既存研究との比較を行いつつ,まとまったガイドラインの提案を行う予定である.ただし,バリアフリー情報提示インタフェースの開発は既に行っており,評価・改良を平行して進めている段階である.このため,本項目においては現状の通り進めていくことで,最終的には当初の研究計画をクリアできると考えられる.
b)バリアフリー状況を現地以外でも追体験できる,没入型の現地状況提示システムの構築(H27後半から29年度前半):没入型現地状況提示システムを使う前の予備段階として,スマートフォンによる簡易情報入力インタフェース開発・評価は済んでおり,データの予備的取得も終了している.今後は,提示用インタフェース側の開発が遅れているため,本システムの開発に注力する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
現状を踏まえて,当初の計画を微調整したものを以下に示す. a)アクセシビリティを考慮したバリアフリー情報を適切に提示可能なインタフェースの開発・評価(H27から28年度):これまで,H27からH28年度には,入力オブジェクト要素に関する論文を執筆した.前年度までの段階で,UIガイドラインとしてのまとめ直しまで行きつかなかったため,H29年度前半に本項に取り組む.
b)バリアフリー状況を現地以外でも追体験できる,没入型の現地状況提示システムの構築(H27後半から29年度前半):H29前半に,没入型の現地状況提示システムの開発・改良をさらに進めると共に,提示データの取得を継続して実施する.特に,画像と音声間の遅延時間・画質・音質の3種を調整した提示コンテンツを作成した上で,バーチャル環境の動き周り易さなどで評価する.提示系・操作系の評価は,様々な障害状況のユーザや専門員・ボランティアで行う.具体的には,現場の状況が解るか,不自然さがあるか,操作は十分に可能かなどを評価させる.
c)a), b) の技術を基にしたクラウドソーシング情報共有支援/事前歩行訓練システムの開発・評価(H29年度):a), b)での検討を踏まえて,H29年度後半に,A)クラウドソーシングて利用可能なバリアフリー状況アセスメント,B)視覚障害者における三次元音響を用いた事前歩行体験システムとして調整の上,有用性の評価を行う.既往研究で得ているバリアフリー情報は,環境の対応地点に重畳して表示する.UI の操作オブジェクト類の調整は,a)で得られたアクセシビリティのガイドラインに沿って行う.評価結果を基に,2つの利用法における没入型環境の構築条件を具体化し,ガイドラインとしてまとめる.
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Research Products
(11 results)