2015 Fiscal Year Research-status Report
降雨による身体冷却がヒトの体温・エネルギー代謝反応に及ぼす影響
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15K16495
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
伊藤 僚 日本福祉大学, 全学教育センター, 助教 (60611118)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 降雨環境 / 体温調節反応 / エネルギー代謝 / 高強度運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
降雨を伴った寒冷環境下では運動中であっても熱損失が熱産生量を上回り核心温の低下やエネルギー消費量の増加がおきることが考えられる。そこで平成27年度は降雨を伴った高強度の走運動(80%VO2max)時の体温およびエネルギー代謝について検討した。実験はRAIN(降雨あり)、CON(降雨なし)の2条件を1週間の間隔を空けて無作為の順序で施行した。RAIN、CONの両条件は中性温環境下で十分な安静を取った後に環境温5℃、相対湿度40%に制御された人工気象室に入室し5分間の立位安静の後に80%VO2maxの走運動をトレッドミル上で60分間、走速度と等しい向い風を受けて行った。尚、RAINは運動中に10mm/hの降雨(5℃)を設定した。その結果、直腸温は運動開始10分目および運動開始40、50、60分目でRAINがCONと比較して有意に高い値を示した。平均皮膚温は運動中、RAINがCONと比較して有意に低い値を示した。酸素摂取量は運動開始10分目および運動開始50分、60分目でRAINがCONと比較して有意に高い値を示した。心拍数、PREは運動開始50分、60分目でRAINがCONと比較して有意に高い値を示した。血漿乳酸濃度は運動開始10分目および運動開始40、50、60分目でRAINがCONと比較して有意に高い値を示した。血漿ノルエピネフリン濃度は運動開始10分目でRAINがCONと比較して有意に高い値を示した。これらのことから寒冷環境下における降雨は熱産生量が高くなる高強度運動時であっても、運動開始初期や運動開始40分目以降には寒冷ストレスを原因とした体温低下や酸素摂取量の増加、血漿乳酸濃度の上昇が起きることを本実験から新たに明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の研究計画は「降雨をともなった寒冷環境における高強度走運動時の体温調節反応およびエネルギー代謝」を明らかにすることであった。現在、実験は終了し日本体育学会第67回大会および21st annual Congress of the EUROPEAN COLLEGE PF SPORT SCIENCEにて成果を発表予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は平成28年度に計画している「降雨をともなった冷環境(10℃)における走運動時の体温調節反応およびエネルギー代謝」を明らかにするための実験を開始する。また平成27年度に得た結果を学会発表および論文化する予定である。
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Causes of Carryover |
血中項目の測定(外注)が予定より若干、安価であったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
降雨を伴う冷環境が走運動中のヒトの体温・エネルギー代謝に及ぼす影響を検討するため、 消耗品費は被験者用の運動着、採血器具の購入、また血中項目の測定費(専門業者へ外注)として必要である。国際学会(EUROPEAN COLLEGE OF SPORT SCIENCE:Vienna)、日本体育学会において発表のため、旅費と学会参加費が必要である。未使用額については、論文や学会抄録の校正費に使用する。
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Research Products
(1 results)