2016 Fiscal Year Research-status Report
熱帯アフリカにおける交通網再編による地域社会へのインパクト
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15K16588
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
坂梨 健太 龍谷大学, 農学部, 講師 (90749128)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アフリカ / 熱帯林 / カカオ生産 / 交通網の発達 / 非農業活動 / 非木材林産物 / 都市と農村 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は以下の現地調査と資料収集をおこなった。 1.アスファルト道路の完成による村落社会の変容 すでにアスファルト工事を終えた地域の社会変容について調査をおこなった。これまで多様な商品を手に入れるために町へ行く所要時間は2時間以上であったが、アスファルト道路によって1時間で到着するようになった。それだけでも現地の人びとにとっては大きな変化である。地域の主要な換金作物であるカカオ生産に関しては、改良品種の導入が見られるものの、多くの農家が積極的に新しいカカオ品種に植え換えているわけではないことが明らかになった。これまで利用してきたカカオの品種(かれらが言う「野生種」)と、品種改良されたハイブリット種が組み合わせられて、植えられていた。従来の品種は生産量が多くないが、収穫年数は長い。そのため、次の世代にも譲ることができ、手放されないのである。改良品種は植えてからすぐに収穫可能であるため、新しくカカオ生産を始める若い人びとに人気である。ただし、交通網の改善によって、ますますカカオ生産が盛んになるのではないだろうかという予想に反して、劇的な変化は見られていない。むしろ若い世代は出稼ぎに行く機会が増えており、地域内での農業離れが進んでいる印象がある。また、都市部から農作物だけでなく獣肉や非木材林産物を得るために商人が来ており、彼らの要求に応じた活動をおこなう村人も多く、カカオ生産が広がらない理由となっている。 2.カカオ経済に関する情報収集 近年のカカオ経済に関する情報を海外の新聞を通して常時収集している。カカオ価格の下落が今年に入って著しく、生産量が世界一位のコートジボワールをはじめ、他のカカオ生産国にどのような影響がではじめているのか、情報収集を続けていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
他の研究プロジェクトの遂行に時間を取られ、かつ、インフォーマントとの連絡がうまくいかなかっため、比較対象地であるコートジボワールでの調査ができなった。
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Strategy for Future Research Activity |
コートジボワールまたはナイジェリアで調査をおこなう予定である。比較的交通網が発達した地域でどのようにカカオ生産や他の活動がおこなわれているのか、カメルーンとの比較を意識しながら調査を進めたい。アフリカの交通網の発展と資源の移動に焦点を当て、より広い視野からカカオ生産を位置づけてみたい。現地調査がうまく進められなくてもいいように、収集した資料の分析や国内で関連資料の収集も引き続きおこなう予定である。また、昨年度、インフォーマントに依頼した家計簿などの個人データを回収した。道路工事完成以降の農民経済の影響について分析し、文章化する。
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Causes of Carryover |
予定していた海外調査が遂行できなかった。別の研究プロジェクトの遂行と調査予定地域への連絡不通が主要な理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
遂行できなかった海外調査費に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)