2016 Fiscal Year Research-status Report
ジェンダー視点を取り入れた安全保障のグローバル・ガバナンスの形成過程に関する研究
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15K16594
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
土野 瑞穂 お茶の水女子大学, グローバルリーダーシップ研究所, 特別研究員 (10739048)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 戦時性暴力 / 「慰安婦」問題 / 安全保障 / 国連 / ガバナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
二年目である平成28年度は、昨年度に引き続きフェミニスト国際関係論に関する文献を用いた理論研究と、「慰安婦」問題に関するフィールドワークを韓国で実施した。
理論研究に関しては、「女性・平和・安全保障」を初めて関連付けた国連安全保障理事会決議1325号を主題とした論文を収集し、紛争下における女性への性暴力が「安全保障の問題」として捉えられるに至った経緯と同決議の意義・限界を調査した。これらの文献調査をもとに、日本政府が同決議の履行を目指して発表した2015年に日本版国別行動計画に関する論文を執筆・投稿した(2017年4月末現在審査中)。同論文は、本研究課題である「ジェンダー視点を取り入れた安全保障のグローバル・ガバナンス」に日本政府がどう応答しているかを明らかにするものである。 フィールドワークでは韓国において「慰安婦」問題に関する実地調査を行った。紛争下における女性への性暴力の問題として日本が問われている「慰安婦」問題は、本研究課題で取り上げる重要な事例である。具体的な調査内容は、「慰安婦」問題をめぐる韓国での動き、元「慰安婦」女性たちの置かれた状況等に関するもので、今年度は計4回韓国に渡航し、文献収集や関係者への聞き取り調査を行った。平成27年から継続してきたこの調査の成果を論文にまとめ、日本平和学会学会誌『平和研究』(第47号、2016)に投稿・採択された。
また2014年3月に提出した博士論文に、これまでの本研究成果を一部盛り込んだものを本年度に本として出版すべく、出版社と作業を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「女性・平和・安全保障」に関する文献調査や「慰安婦」問題に関するフィールドワークを予定通り実施し、その成果を論文としてまとめることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
国連による「女性・平和・安全保障」政策、日本政府の政策や「慰安婦」問題等の調査研究を踏まえて、今後はこれらの具体的事項を論じる枠組みとしてもう少し幅広いテーマで理論研究を進めるべく、安全保障研究や平和構築に関する研究のレビューに力を入れていきたい。
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Research Products
(4 results)