2018 Fiscal Year Annual Research Report
Representation of Domesticity in Post-9/11 American Novels
Project/Area Number |
15K16703
|
Research Institution | Tokyo Kasei University |
Principal Investigator |
並木 有希 東京家政大学, 人文学部, 准教授 (90626194)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | アメリカ現代文学 / アメリカ近代文学 / 家族表象 |
Outline of Annual Research Achievements |
現代アメリカ文学における「災害後の都市における家族」というテーマを理解するため、特に<9・11>以降のニューヨークを扱った文学作品を中心として調査を行った。 アメリカ文学・文化の発展と共に形成された、政治的・社会的な装置としての「Domesticity(家庭性)」についての諸議論を整理した。それと同時に、物理環境と個人的な体験をつなぎ、変化させ、再編成させる動きを理解するための鍵概念となるAffect理論について広く調査し、関連文献をまとめた。第一に、1940年代のAyn Randのニューヨーク小説における特異な都市表象を、建設と破壊の暴力性に注目して論文にまとめた。第二に、「母親と息子の自閉的な関係」という頻出主題に注目し、H.デウィットのThe Last Samurai(2000)、J.S.フォアのExtremely Loud and Incredibly Close(2005)、D.タールトのThe Goldfinch (2013)などに見られる、緊密な母と息子の関係を展開した形で、新しい家庭と都市を規定しなおす動きについて論考した。教養小説の現代的発展系の例として国際学会にて発表し、現在同テーマのアンソロジーとして出版準備中である。 第三に、正規転換期のアメリカ都市文学を地理と家庭性の関係で読み直し、リアリズム文学における女性の就労と都市移動を学ぶアメリカ文学史の教材と授業を作成し、国際学会で発表した。 第四に、この枠組みを使った試論として、今までのニューヨーク都市文学の災害表象に関する表現の中にある、突発的な暴力、感情の交換、家族と都市の再構成をテーマとし、チャーリー・カウフマンの映像作品諸作品における都市表象と家族の再建の物語についてまとめた。
|