2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K16757
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Research Institution | Advanced Telecommunications Research Institute International |
Principal Investigator |
波多野 博顕 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, その他部局等, その他 (10709364)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 韻律 / 対人関係 / 対話 / ヒューマン・ロボットインタラクション / パラ言語的情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は本科研採択前から収録していた対話データを対象に予備的な分析を行った後,新たに対話収録を実施すると共にそのデータ整備や分析を中心に行なった。いずれの分析結果も平成27年度の日本音響学会(秋季と春季)で発表済みである。 予備的な分析では,異なる外見を持つアンドロイド・ロボットと対話した被験者の音声から相槌「はい」を取り出し,対話相手の相違が韻律にどのような影響を与えているのかについて分析を行った。持続時間と基本周波数の変動に注目して音響分析を行った結果,「はい」の持続時間には有意差が現われたものの,基本周波数については両者に差が見られなかった。予備的な分析によって,局所的ではあるがアンドロイドとの対話においても対人要素が対話韻律に影響を与えていることが示された。一方で,被験者数が男女各2名と少なく,且つ,被験者は1体のアンドロイドとしか対話していないため個人内での発話スタイルの切り替えという側面からの分析が行えないという問題が残った。 そのため,新たに男女各5名の大学生を被験者として,全ての被験者が2体のアンドロイドとの対話(10~15分)を個別に2回行うような対話実験を行った。当分析では,相槌「はい」を対話冒頭の3分とそれ以降に分ることで,対話開始時に共通にみられる緊張状態とアンドロイドの外見がもたらす対人的な緊張状態を分け,持続時間について分散分析を行った。その結果,アンドロイドの相違でのみ持続時間に有意差が現われた。このことから,被験者はアンドロイドの外見から対人印象を形成し,それに適した発話スタイルを使い分けていることが明らかとなった。 以上,本年度の研究によって,当科研の課題である「対話相手との関係性が発話の韻律に与える影響」の一端について実証的に示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では,より多くの被験者を対象に新たに対話収録を行う予定であった。しかし,本年度に収録したデータの整備(書き起こし,発話区間の同定,ラベリング等)に想定以上の時間がかかってしまい,追加の実験を行うことが出来なかった。また,対話に際してアンドロイド間で話題を統制したものの,インタビューのようなやりとりになることが多く,想定よりも被験者の発話バリエーションが抑えられてしまった。そのため,感動詞や終助詞を対象に思うように分析できなかった点も,進捗が遅れた理由として挙げられる。 しかし,試行錯誤しながらもデータ整備におけるノウハウは蓄積できたため,これに関する時間的なコストの問題は以降では発生しないことが予想される。また,この対話収録を踏まえることで,次の収録では被験者とのよりスムースな対話が実現できると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は新たに追加で対話を収録しデータを増やすと共に,対話に関する先行研究の知見を踏まえつつ,より広範な視野から発話スタイルの考察を進める予定である。また,次年度が最終年度であるので,この成果がヒューマン・ロボットインタラクション研究のみならず,対話研究にも貢献できるよう,実験的なパラダイムに基づく検証を行う。
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Causes of Carryover |
本年度は物品費と人件費が当初予定よりも少なく済んだため,次年度使用額が発生した。その理由として,対話収録用の機材に所属機関の資産を多く使用することができたことと,研究の進捗がやや遅れているため対話実験が小規模になったことが挙げられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
追加のデータ収録が次年度にずれ込んだため,これを行う予定である。より迅速な研究進展のため,新たに作業補助員を雇用する予定である。これらによって人件費が当初の計画通りになる。また,分析のための各種機材を整備するため,物品費も計画通りに使用される予定である。
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Research Products
(4 results)